生成AIで営業資料を作る実務手順
作成日: 2026/08/05 09:00 ・ 更新日: 2026/09/08 00:00
執筆: DocLead 運営
この記事の結論
生成AIの資料作成は構成案とドラフト作りに使い、事実確認と仕上げは人が担う分担にすると品質を落とさず速くなります。
営業資料やホワイトペーパーの作成は、構成を考える段階から時間がかかります。担当者1人に作業が偏り、ネタが尽きて更新が止まってしまうことも珍しくありません。
生成AIを使えば構成案やドラフトの作成時間を大きく圧縮できますが、出力をそのまま公開すると事実誤認や画一的な表現が残ったままになりがちです。ツールの機能比較ではなく、「構成案→ドラフト→ファクトチェック→デザイン仕上げ」という実務の流れと、そこで使うプロンプトの型を押さえておくことが遠回りに見えて一番の近道です。
この記事では、生成AIで営業資料・ホワイトペーパーを作る具体的な手順と、押さえておくべき注意点を解説します。マーケティング施策全体での生成AI活用は「生成AIマーケティングの進め方」で扱っているので、あわせて参考にしてください。営業資料全体の種類や作り方を俯瞰したい場合は「営業資料作成の完全ガイド」もあわせてご覧ください。
生成AIで資料作成をする前に整理すべき課題
資料作成が滞る原因の多くは、時間不足と属人化の2つです。営業担当が商談の合間に資料を作ると後回しになりやすく、担当者が変わると過去のノウハウが引き継がれません。結果として「誰かが忙しいときに資料の更新が止まる」状態が常態化してしまいます。
生成AIは、こうした課題のうち「ゼロから文章を組み立てる時間」を短縮する役割を果たします。構成の骨子出しや言い回しのバリエーション作成は、生成AIが得意とする作業です。ただし、自社の強みや実績といった情報は生成AI自身が持っているわけではないため、入力する材料の質が仕上がりを左右します。
生成AIに丸投げして「それっぽい資料」ができても、読み手の心には残りません。自社の実績・数値・顧客の声といった固有の情報を人が加えて初めて、他社と差別化できる資料になります。この後の手順で「何を入力し、何を人が判断するか」を分けて説明します。
事前準備
使う生成AIツールを決める
資料作成に使える生成AIには、ChatGPT・Claude・Gemini のような汎用の対話型AIと、Gamma・イルシルのようなスライド生成に特化したAIがあります。汎用AIは構成案や文章のドラフト作成に向き、スライド特化型AIはデザインまで含めた見た目の仕上げを短縮できます。
両方を使い分けるチームも珍しくありません。たとえば構成案と本文は汎用AIで作り込み、体裁を整える段階だけスライド特化型AIに任せる、という分担です。逆に最初からスライド特化型AIに丸投げすると、文章の粒度が粗いままデザインだけ整ってしまい、後から文章を直しにくくなることがあります。
どちらを選ぶかは自社の運用に合わせて判断してください。各ツールの料金プランや対応機能は改定される頻度が高いため、契約前に必ず公式サイトで最新情報を確認しましょう。また、既存の社内資料や過去の提案書をAIに読み込ませて参照できるツールもありますが、機密情報の扱いは次項と手順3で触れる注意点に従ってください。
入力する材料をそろえる
生成AIに丸投げすると、当たり障りのない一般論しか出てきません。事前に次の材料をテキストでまとめておくと、初回の出力精度が上がります。
- サービス・製品の概要と強み
- ターゲット顧客の課題(業種・役職・悩み)
- 導入実績や具体的な数値(社内で確認済みのもの)
- 資料の目的(商談用・展示会配布用・ダウンロード資料用など)
- 競合と比較したときの自社の立ち位置(差別化ポイント)
これらは一度まとめておけば、資料の種類が変わっても使い回せます。営業資料用にまとめた材料は、そのままホワイトペーパーや展示会配布資料の入力にも転用できるため、最初にテキストファイルとして保存しておくと以降の作成が速くなります。材料が手元にない場合は、生成AIに質問形式で聞き出してもらう方法もあります。「BtoB営業資料に必要な情報を、質問形式で10個挙げてください」のように依頼すると、洗い出しの叩き台になります。
生成AIで資料を作る手順
手順1: 構成案を作る
まず生成AIに骨子案を出させ、人が並び替えて取捨選択します。ここで役立つのがプロンプトの型です。次の3要素を含めると、狙った形式の出力が得られやすくなります。
- 役割定義:「BtoB営業資料の構成作成を専門とするコンサルタントとして」のように立場を指定する
- 前提情報:サービス概要・ターゲット顧客・資料の目的を箇条書きで渡す
- 出力形式指定:「章立てと各章の要点を箇条書きで、章数は7〜10に収めて」のように形式と分量を指定する
出てきた骨子案は、自社の訴求したい順番と一致しているとは限りません。読み手が最初に知りたい情報(課題→解決策→実績→導入方法)の順に人の手で並び替えます。営業資料の構成の基本は「営業資料の作り方|成果につながる12ステップ」、ホワイトペーパーの構成は「ホワイトペーパーの作り方7ステップ|配布ページまで徹底解説」で詳しく解説しています。
プロンプトの実例を挙げると、次のような形になります。
あなたはBtoB営業資料の構成作成を専門とするコンサルタントです。
以下の情報をもとに、営業資料の章立てと各章の要点を
箇条書きで提案してください。章数は7〜10に収めてください。
- サービス概要: {サービス概要}
- ターゲット顧客: {ターゲット顧客}
- 資料の目的: {資料の目的}
出力された章立てに対して、「読み手が離脱しそうな章はどこか」を自問しながら並び替えると、独りよがりな構成を避けられます。
手順2: ドラフトを生成する
構成案が固まったら、セクションごとに本文のドラフトを生成します。1回のプロンプトで資料全体を出力させると文体や粒度がばらつくため、セクション単位に分けるのがコツです。
プロンプトには「対象読者」「1セクションあたりの文字数目安」「トーン(である調/ですます調)」を明記します。たとえば次のような形です。
先ほどの構成案のうち「導入実績」セクションの本文を作成してください。
対象読者は{ターゲット顧客}、文字数は300字程度、
トーンは丁寧だが売り込みすぎない「ですます調」でお願いします。
生成された文章がそのまま使えることは多くありません。特にBtoB営業資料では、業界特有の言い回しや自社の呼称(製品名・サービス名の表記ルール)が反映されないことが多いため、セクションごとに人が目を通して調整します。同じ条件を使い回せるよう、プロンプトはテンプレート化して保存しておくと次回以降の作成が速くなります。
手順3: ファクトチェックする
生成AIの出力は、事実と異なる内容や存在しない引用をもっともらしく書いてしまうことがあります(いわゆるハルシネーション)。公開前に必ず次の点を人の目で確認してください。
- 数値・統計・固有名詞(社名・製品名)が正確か
- 「〜という調査結果がある」といった記述に、実在する出典があるか
- 自社の実績・導入事例として書かれた内容が、実際の事実と一致しているか
機密情報の取り扱いにも注意が必要です。 未公開の契約条件、顧客の個別事情、社外秘の数値をプロンプトに入力すると、利用するサービスの設定によっては学習データとして扱われたり、ログとして外部に残ったりするおそれがあります。入力前に自社の情報セキュリティ方針を確認し、機密性の高い情報は匿名化するか入力自体を避けましょう。
ファクトチェックは1人で完結させず、可能であれば作成者以外の目も通すと精度が上がります。特に導入実績や数値は、社内の別部署(カスタマーサクセスや営業企画)に確認を依頼すると、思い込みによる誤記を防げます。
手順4: デザインを仕上げる
文章のファクトチェックが終わったら、スライド生成AIやテンプレートを使って体裁を整えます。フォント・配色は自社のブランドガイドラインに沿っているか確認し、生成AIが提案した装飾をそのまま使わず必要に応じて簡素化してください。デザインの具体的なポイントは「ホワイトペーパーのデザインのコツ」も参考にしてください。
スライド生成AIは、見出しと箇条書きのテキストを渡すだけでレイアウトを自動生成してくれる点が便利ですが、1スライドに詰め込む情報量はAI任せにせず人が調整してください。文字が多いスライドは、生成AIの提案通りに作ると読みにくくなりがちです。目安として、1スライドのメッセージは1つに絞り、補足情報は本文の下部か別スライドに分けます。
PDF をアップロードするだけで資料DLページができます
DocLeadでできることを見るつまずきポイント
生成AIでの資料作成でよくあるつまずきは次の3つです。
- 文章が画一的になる:他社の資料とよく似た表現になりやすいため、自社ならではの実績・エピソードを人の手で加える
- 情報が古い:学習データの時点までの情報しか持たないため、最新の市場動向や統計は別途調べて差し替える
- チェック工程を省略してしまう:作成が速い分、確認を後回しにして誤情報のまま公開してしまうケースがある
- プロンプトの指示が曖昧で出力がぶれる:「いい感じにまとめて」のような抽象的な指示だと、毎回違う粒度の出力になる。前提情報と出力形式を毎回明記する
- 1回で完成形を求めてしまう:初回の出力を完成品として扱うと粗が残る。追加指示で「もっと具体的に」「専門用語を減らして」と対話的に調整する前提で使う
生成AIはあくまで下書きを作る道具であり、事実確認と最終判断は人が担う前提で運用することが失敗を避けるポイントです。特に、資料が対外的な公開物になる場合は、社内の誰か1人がチェックすれば十分ではなく、公開前のレビュー工程をワークフローとして明文化しておくことをおすすめします。
効率化のヒント
プロンプトをテンプレート化し、資料の種類(提案書・ホワイトペーパー・事例紹介)ごとに社内で共有しておくと、担当者が変わっても一定の品質を保てます。事例紹介資料は取材から公開まで独自の手順が必要になるため、「導入事例の作り方」も参考にすると構成の抜け漏れを防げます。手順1〜2で使ったプロンプトの型をドキュメント化し、成果物と合わせて保管しておくと再利用しやすくなります。
また、過去にうまくいった資料構成やプロンプトを「勝ちパターン」として蓄積しておくと、次に資料を作る担当者がゼロから試行錯誤する必要がなくなります。資料作成に慣れていない担当者でも、テンプレート化されたプロンプトに材料を当てはめるだけで一定水準のドラフトを作れるようになるため、属人化の解消にもつながります。
資料が完成したら、作って終わりにせず配布・計測の仕組みまで用意すると成果につながります。DocLead は、完成した PDF をアップロードするだけでリード獲得フォーム付きの共有ページを発行できるツールです。公開・非公開はワンクリックで切り替えられ、フォーム経由のダウンロード数とページの閲覧数(PV)を計測できるため、生成AIで効率化した分の時間を、資料の反応を見て改善するサイクルに回せます。
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