導入事例の作り方|取材から公開までの7ステップ
作成日: 2026/07/16 09:00 ・ 更新日: 2026/09/08 00:00
執筆: DocLead 運営
この記事の結論
導入事例の作り方は、目的を定め課題→決め手→効果の構成で取材からステップを踏み公開まで進めることです。
「導入事例を作ろう」と決めても、何から手をつけるか迷って止まってしまうことは少なくありません。取材先の選び方、質問の作り方、原稿のまとめ方まで、決めることが多いためです。担当が営業出身でもマーケ出身でもない場合、進め方の型が見えないまま着手して途中で手が止まりがちです。
営業資料全般の作り方は営業資料作成 完全ガイドで整理しています。この記事では、導入事例を1本作り上げるまでの手順を、取材先の選定から公開までの流れに沿って解説します。取材を断られたときの代替案や、完成した事例を活かす選択肢にも触れます。複数の事例をまとめて冊子やダウンロード資料にする方法は扱わず、1本の事例を丁寧に作り上げることに絞って説明します。
初めて導入事例を担当する場合、社内に決まった型がないことも多いはずです。この記事の手順どおりに進めれば、取材先の選定から公開まで、どのタイミングで何を決めればよいかが分かる状態になります。
すでに何本か事例を作った経験がある場合も、依頼から公開までの流れを見直すきっかけとして活用できます。取材先の選定基準や質問設計を明文化しておくことで、担当者が変わっても品質を保ちやすくなります。
導入事例づくりで最初につまずくポイント
導入事例作りで最初に止まる原因は、「誰のために、何を伝える事例にするか」を決めずに取材へ進んでしまうことです。目的が曖昧なまま質問を用意すると、取材で聞くべきことがぶれて、原稿化の段階で材料不足に気づきます。「話は聞けたが、記事にすると薄い」という状態は、たいてい目的設定を飛ばしたことが原因です。
着手前に、次の3つのうちどれを重視するかを決めておきます。
- 受注率の向上:比較検討中の見込み客の後押しを狙う
- 比較検討フェーズでの離脱防止:競合との違いを具体的に示す
- サービス全体への信頼性の補強:導入実績を証明する材料にする
目的が決まれば、取材先の条件と質問の方向性が自然に絞り込めます。たとえば受注率の向上を狙うなら、比較検討時に競合と迷った企業を選び、「決め手」を深く聞く質問を用意します。信頼性の補強が目的なら、業種の幅を意識して複数の切り口から企業を選ぶ視点が必要になります。
目的とあわせて、誰に読ませる事例かも決めておきます。「初めて検討を始めた読者」に向けるなら、導入前の悩みや検討の進め方を厚く書きます。「他社との比較検討中の読者」に向けるなら、決め手となった比較軸を具体的に書くことが重要になります。同じ取材内容でも、どちらの読者を想定するかで、原稿で厚みを持たせる部分が変わってきます。
目的と読者が定まったら、社内の関係者(営業・カスタマーサクセス・マーケティング)とその方針を共有しておきます。取材先の候補選定や公開後の活用は複数部門にまたがることが多く、方針を先に揃えておくことで、後工程での認識違いを防げます。
取材前にゴールを言語化しておくことは、取材後の原稿確認の場面でも役立ちます。「何のための事例か」が関係者間で共有されていれば、原稿レビュー時の指摘も目的に沿ったものになり、方向性のずれた修正依頼を減らせます。
事前準備:取材先の選定と依頼
取材先の選定と依頼の質が、その後の原稿の説得力を左右します。準備段階で手を抜くと、取材当日に材料が集まらず、原稿が薄くなります。
取材先企業を選ぶ基準
事例に選ぶ企業は、成果の大きさよりも「読者が自分ごと化できるか」を優先します。読者と近い業界・規模・課題を持つ企業のほうが、成果が控えめでも説得力を持つためです。派手な成果を出した1社よりも、読者の会社と状況が似ている企業のほうが、営業の場面でも刺さりやすくなります。
選定時は次の項目を確認します。
- 読者と近い業界・企業規模か
- 導入前の課題が具体的に語れるか(担当者が課題を把握しているか)
- 導入の決め手が明確か(比較検討した競合や判断基準を覚えているか)
- 成果を数値または具体的な変化で語れるか
- 取材・原稿確認に協力してもらえる関係性があるか
成果が小さくても、課題の共感度が高い企業のほうが良い事例になることがあります。「同じ悩みを抱えている自社に近い会社の話」として読まれ、比較検討中の読者の背中を押しやすくなるためです。逆に、成果は大きいが業種や規模がかけ離れている企業を選ぶと、「自社には当てはまらない特殊な成功例」として読み流されてしまいます。
候補が複数いる場合は、一度に依頼せず優先順位をつけて順番に声をかけます。同時に複数社へ依頼すると、断られたときの代替先が見えにくくなる一方、承諾が重なると対応が追いつかなくなるためです。優先順位は、上記の選定基準に加えて「取材のしやすさ(担当者との関係性)」も加味して決めます。
候補リストは、社内の営業やカスタマーサクセスに呼びかけて集めると幅が広がります。マーケティング担当だけで候補を探すと、日頃接点のある一部の企業に偏りやすいためです。各部門から「この企業なら協力してくれそうだ」という情報を集め、選定基準と照らし合わせて絞り込みます。
取材を依頼する
依頼は、取材先と日常的に接点のある営業担当やカスタマーサクセス担当から出すと通りやすくなります。初対面の担当者からの依頼より、関係性のある担当者経由のほうが承諾率が上がるためです。関係が浅い場合は、まず営業担当を通じて感触を確認してから正式に依頼するとスムーズです。
依頼メールには次の項目を必ず含めます。
- 目的(どのような読者に向けた事例か)
- 所要時間の目安(取材・原稿確認それぞれ)
- 公開範囲(社名・ロゴ・担当者名を出すかどうか)
- 原稿確認のプロセス(何回のやり取りを想定しているか)
- 謝礼や特典の有無
依頼段階で公開範囲と確認プロセスをすり合わせておくと、後工程での認識違いを防げます。特に「社名を出さずに掲載したい」といった希望は、原稿ができてから伝えられると修正の手戻りが大きくなります。依頼時点で必ず確認しておきます。
依頼メールの構成は、件名・挨拶・目的・依頼内容・所要時間・スケジュール案・結びの順が基本形です。件名は「【ご相談】導入事例掲載のお願い」のように用件が一目で分かる表現にします。本文の冒頭で目的(どのような読者に向けた事例か)を簡潔に伝え、その後に依頼内容と所要時間、想定スケジュールを箇条書きで示すと、担当者が社内で共有・検討しやすくなります。
承諾率を上げる工夫としては、依頼の理由に「なぜその企業を選んだのか」を添えることが有効です。「貴社の導入事例が、同じ課題を持つ企業の参考になると考え依頼しました」のように、選定理由を具体的に伝えると、単なる営業目的ではないことが伝わり、協力を得やすくなります。返信のハードルを下げるため、依頼メールの末尾に「まずは概要だけでもご確認いただければ幸いです」といった一言を添えるのも効果的です。
法務や広報の確認が必要な企業では、依頼段階でその旨を確認しておきます。公開前に社内稟議や法務チェックが必要な場合、確認プロセスの往復回数が増えるため、余裕を持ったスケジュールを組む必要があります。個人情報や取引先名など、社外秘に触れる可能性がある内容は、取材時点で言及を避けてもらうよう依頼しておくと、後工程での差し戻しを減らせます。
依頼の連絡手段はメールに限らず、日頃やり取りしているチャットツールでも構いません。ただし、目的・所要時間・公開範囲・確認プロセスの4項目は、口頭や短いメッセージだけで済ませず、必ず文章として残しておきます。取材当日や確認段階で「聞いていた話と違う」という行き違いを防ぐためです。
謝礼の有無や金額は、社内であらかじめ基準を決めておくと、依頼のたびに判断に迷わずに済みます。金額の相場は業界や関係性によって幅があります。謝礼を用意しない場合でも、取材後に掲載した記事へのリンクを渡す、SNSでの紹介と合わせて発信するなど、取材先にもメリットが伝わる形を用意しておくと協力を得やすくなります。
初めて依頼する取材先には、過去に公開した事例記事を1本サンプルとして共有すると、完成イメージが伝わりやすくなります。文章のボリューム感や公開範囲の実例を見てもらうことで、依頼メールの説明だけでは伝わりにくい部分の不安を解消できます。
導入事例の作り方7ステップ
準備が整ったら、質問設計から公開まで順番に進めます。各ステップで押さえるポイントを押さえておけば、取材当日に慌てずに済みます。全体の所要期間は、依頼から公開まで2〜4週間程度を見込んでおくと、取材先の都合や確認の往復にも余裕を持って対応できます。
ステップ1:質問項目を設計する
質問は「課題」「決め手」「効果」の3軸で組み立てます。この3軸が原稿の骨格になるため、取材前に質問リストとして固めておきます。取材の場で思いついた質問を投げるだけでは、後で原稿化するときに情報が偏りやすくなります。
カテゴリ別の質問例は次のとおりです。
- 背景・課題を引き出す質問:「導入前、どのような業務に困っていましたか」「その状態が続くと、どのような影響がありましたか」「課題に気づいたきっかけは何でしたか」
- 検討・決め手を引き出す質問:「他にどのような選択肢を比較しましたか」「比較した際、何を判断基準にしましたか」「最終的に決め手になったのは何でしたか」
- 効果を引き出す質問:「導入前と比べて、具体的に何が変わりましたか」「数値で示せる変化はありますか」「社内の反応はどうでしたか」
質問は当日の会話の起点として使い、回答をそのまま深掘りする前提で用意します。すべての質問に順番どおり答えてもらう必要はなく、話の流れに応じて前後させて構いません。
質問設計のアウトプットイメージは、A4用紙1枚に収まる程度の質問リストです。カテゴリごとに3〜5問、全体で10〜15問程度をExcelやドキュメントに箇条書きでまとめ、取材当日に手元で確認できる形にしておきます。質問の横に「この質問で何を明らかにしたいか」を一言メモしておくと、当日に深掘りする際の判断基準になります。
質問リストは取材前に取材先へ共有しておくと、当日の会話がスムーズになります。担当者が事前に社内の数値や経緯を確認できるため、その場で「確認して後日回答します」となる回数を減らせます。特に効果に関する数値は、担当者の記憶だけでなく社内資料を確認してもらったほうが正確な数字が得られます。
質問数は10〜15問程度に収めます。あまりに多いと当日に消化しきれず、逆に少なすぎると深掘りの起点が足りなくなります。担当者が複数名同席する場合は、誰にどの質問を向けるかもあらかじめ想定しておくと、進行がスムーズになります。たとえば導入の意思決定に関わった立場の人には決め手を、日々の業務で使っている担当者には効果を中心に聞くといった役割分担です。
想定読者が「初めて検討を始めた層」であれば、課題の背景や検討の始め方を厚めに質問します。「比較検討中の層」であれば、比較した競合や判断基準を具体的に掘り下げる質問を増やします。目的とターゲットに応じて質問の配分を調整することで、原稿化したときに読者が求める情報が過不足なく揃います。
ステップ2:取材当日に進行する
取材の冒頭で、公開前提であることと、記事化の流れを改めて共有します。これを先に伝えておくと、担当者も安心して具体的な話をしやすくなり、後の原稿確認での修正も減ります。
進行は時系列に沿って聞くと、話が整理しやすくなります。「導入前に困っていたこと」から始め、「比較検討で見た他の選択肢」「最終的な決め手」「導入後の変化」の順で進めます。効果については、可能な限り数値でBefore/Afterを確認します。数値が出ない場合は、「以前は◯◯だったが、今は◯◯できるようになった」という具体的な変化の言葉で補います。
回答が抽象的なときは、「具体的にはどのような場面でしたか」と一段掘り下げる質問を挟みます。抽象的な回答のまま原稿化すると、読者が自分の状況に重ねにくい事例になります。特に「効果」は「業務が楽になった」で終わらせず、「何にどれくらい時間がかかっていて、それが何分に短縮されたか」まで聞き切ることを意識します。
取材時間は60分前後を目安に設定します。それより短いと課題や決め手を深掘りする余裕がなく、長すぎると担当者の負担が増して次回以降の協力が得にくくなります。録音や記録係の同席をあらかじめ伝えておくと、担当者も安心して話しやすくなります。取材の最後には、追加で確認したい点があれば後日メールで問い合わせてよいか確認しておくと、原稿化の段階で困りません。
オンライン取材の場合は、事前に接続テストを済ませておくと当日のトラブルを防げます。録音データは聞き返しながら原稿を作るため、取材直後に音質や録音範囲に問題がないか確認しておくと、後から取材をやり直す事態を避けられます。対面取材の場合も、静かな場所を確保し、名刺交換や雑談を含めて時間に余裕を持たせておくと、担当者が本音で話しやすい雰囲気を作れます。
取材の進行役と記録役を分けておくと、進行役は会話に集中でき、記録役はメモや録音のバックアップに専念できます。1人で対応する場合は、録音を必須にした上で、印象に残った発言や数字だけをその場でメモに残す運用にすると、聞き逃しを減らせます。
取材当日のアウトプットイメージは、質問リストの回答が埋まったメモと、60分前後の録音データです。深掘りが必要かどうかの判断基準は「その回答だけで読者が状況を思い浮かべられるか」です。数字や固有名詞が出ず「便利になった」で終わる回答は深掘りが必要、具体的な業務名や数値が出ていれば次の質問へ進めてよい、という基準で進行すると迷いが減ります。
ステップ3:原稿を「課題→決め手→効果」で構成する
原稿の見出しは、取材の3軸に対応させて組み立てます。次のような順番が基本形です。
- 企業プロフィール(業種・規模・担当者)
- 導入前の課題
- 比較検討と導入の決め手
- 導入後の効果
- 今後の展望や担当者からのコメント
タイトルは、読者が自分の状況と重ねられる具体性を持たせます。「〇〇業の企業が、△△という課題を□□で解決した事例」のように、業種・課題・成果のいずれかを含めると検索結果でもクリックされやすくなります。抽象的な「導入事例」という言葉だけのタイトルは、他の事例と見分けがつかず、クリック率が下がります。
リード文では、記事の要点(どのような企業が、どのような課題を、どう解決したか)を3〜4文で先出しします。要点を先に示すことで、本文を読み進めるかどうかを読者が短時間で判断できます。忙しい読者ほど、本文を読む前にリード文だけで概要をつかもうとします。
見出しごとの分量の目安として、企業プロフィールは短く簡潔に、課題・決め手・効果の3つの見出しに文字数の大半を割きます。今後の展望やコメントは締めくくりとして数百字程度で十分です。分量のバランスが取材の3軸(課題・決め手・効果)からずれると、記事全体の説得力が弱くなります。
構成を組む際は、取材メモを課題・決め手・効果の3つに仕分けてから見出しに落とし込むと作業がしやすくなります。取材中の発言は時系列に並んでいるため、そのままの順番で書くと同じ話が複数箇所に散らばりがちです。仕分けた上で改めて見出しごとにまとめ直すことで、重複のない読みやすい構成になります。
見出しは平叙文よりも、内容が一目でわかる具体的な表現にします。「導入の決め手」という抽象的な見出しよりも、「価格ではなく操作性の分かりやすさが決め手に」のように要点を含めた見出しのほうが、読者は拾い読みしやすくなります。長い記事ほど、見出しだけを追って必要な部分に目を通す読者が多いことを踏まえて構成します。
構成のアウトプットイメージは、見出しと各見出しの要点を箇条書きにした構成案(アウトライン)1枚です。たとえば「導入前の課題」の見出しには「受注データを手作業で集計しており、月次レポートの作成に3日かかっていた」のように、取材で得た具体的なエピソードを1〜2行で書き添えておきます。この段階で各見出しの分量イメージ(文字数の目安)も決めておくと、執筆時に膨らみすぎるのを防げます。
構成案は、原稿を書き始める前に一度取材先へ簡単に共有すると、方向性のずれを早い段階で防げます。「このような流れでまとめる予定です」と見出しだけを示す程度で構いません。構成の時点で違和感を指摘してもらえれば、原稿を書き直す手戻りを避けられます。
ステップ4:執筆する
執筆では、取材で得た言葉をできるだけそのまま活かします。書き手の言葉に置き換えすぎると、担当者本人の実感が薄れ、説得力が落ちるためです。「〜と感じた」「〜と話す」のように、担当者の発言として引用する形式を適度に使うと、記事に生の声が残ります。
断定的な言い切りは避け、事実に基づいた表現にとどめます。「業界No.1の効果」のような根拠のない誇張は、公開前の確認で指摘されやすく、修正の手間も増えます。専門用語が出てきた場合は、初出時に一文で説明を添え、業界外の読者にも伝わる文章にします。文章全体を通して、一文を短く保ち、一段落に詰め込みすぎないことも読みやすさにつながります。
取材メモをそのまま原稿に転記すると、口語表現や話の重複が残り読みにくくなります。担当者の発言として引用する部分以外は、要点を整理した地の文に書き直します。引用する発言は、意味が変わらない範囲で語尾を整える程度にとどめ、担当者が言っていない内容を付け加えないよう注意します。
執筆時間が確保しづらい場合は、章ごとに分けて少しずつ進める方法もあります。取材直後の記憶が新しいうちに骨子だけ書き出しておき、後日まとめて肉付けする進め方であれば、まとまった時間が取れない担当者でも無理なく原稿を完成させられます。骨子には、取材で得た具体的な数字やキーワードだけでもメモしておくと、後から書く際に思い出しやすくなります。
執筆に慣れていない場合は、まず箇条書きで要点を並べてから文章化すると進めやすくなります。いきなり整った文章を書こうとすると手が止まりやすいため、課題・決め手・効果それぞれについて要点だけを箇条書きにし、それを肉付けしていく順番のほうが着手のハードルが下がります。
執筆例を挙げると、取材メモの「業務が楽になったと言っていた」という記録は、そのままでは弱い記述です。「以前は手作業で集計していた月次レポートが、自動集計により3日かかっていた作業が半日で終わるようになった」のように、具体的な作業内容と数字を補って書き直します。読者が状況を思い浮かべやすくなります。数字が取材で得られなかった場合も、「以前は◯◯だったが、今は◯◯できるようになった」という対比の形だけは崩さずに書きます。
執筆が完成したら、声に出して読み返す、または時間を置いてから読み直すと、読みにくい箇所に気づきやすくなります。書いた直後は自分の文章に慣れてしまい、違和感に気づきにくいためです。特に一文が長くなりすぎていないか、同じ語尾が連続していないかは、この段階で確認しておきます。
ステップ5:取材先に確認してもらう
原稿ができたら、取材先に確認を依頼します。確認対象は「事実誤認がないか」「公開して問題ない表現か」「引用の意図と齟齬がないか」の3点に絞ると、確認の往復が長引きにくくなります。確認範囲を絞らずに依頼すると、文体の好みなど本質的でない指摘まで含まれ、収拾がつきにくくなります。
確認依頼は、原稿本文だけでなく、公開予定日や掲載媒体(サイト・営業資料など)も併せて伝えます。修正指摘が複数回に分かれると管理が煩雑になるため、「一度にまとめて指摘してもらう」ことをあらかじめ依頼しておきます。返信期限も明記しておくと、公開スケジュールが不用意に延びるのを防げます。
確認用の原稿は、修正履歴が分かる形式で渡します。どの部分をどう直したのか担当者側で追いやすくしておくと、修正の見落としや二重対応を防げます。社内の上長確認が必要な企業では、担当者から上長への説明にも使えるよう、要点をまとめた1枚のサマリーを添えると確認がスムーズに進みます。
修正依頼を受けたら、事実確認に関わる指摘はそのまま反映します。表現の好みに関する指摘は、記事全体のトーンを崩さない範囲で調整します。すべての指摘を字面どおりに反映すると記事全体の文体がちぐはぐになることがあるため、原稿の一貫性を保ちながら反映する視点も必要です。
校正では、取材先の確認とは別に、社内でも誤字脱字・数値の整合性・固有名詞の表記ゆれをチェックします。特に社名・製品名・役職名の表記は、取材先の公式サイトや名刺の表記と一致しているかを必ず確認します。表記ミスは、記事の内容とは無関係でも取材先の信頼を損ねる原因になりやすいためです。判断に迷う表現(誇張ではないか、事実に基づいているか)は、社内の別担当者にも読んでもらい、第三者の視点で確認すると見落としを減らせます。
ステップ6:公開する
公開ページには、要約(結論を先に示す1〜2文)、企業プロフィール、本文の3要素を最低限含めます。要約を冒頭に置くことで、忙しい読者でも要点だけ拾い読みできます。
サービス紹介資料の構成や営業資料の作り方と合わせて事例を用意しておくと、営業の場面で使い分けがしやすくなります。公開後は、関連する記事への内部リンクを設置し、読者が他のコンテンツにも回遊できるようにします。
公開前には、取材先企業のロゴや写真の使用許諾を再確認します。原稿の文章内容だけでなく、画像素材についても公開範囲の合意が取れているかを最終チェックの項目に含めておくと、公開後のトラブルを防げます。誤字脱字や日付の確認とあわせて、リンク切れがないかも公開直前にひととおり確認します。
公開したら、取材先の担当者にも公開の連絡を入れます。掲載URLと合わせて、社内共有用に使えるスクリーンショットや案内文を添えると、取材先も自社の広報活動として使いやすくなります。取材先が自社のSNSや採用ページで紹介してくれることもあり、双方にとってメリットのある関係を続けやすくなります。

全 20 ページ!事例シートから配布・効果測定まで埋めるだけ
導入事例テンプレート集
- A4 一枚の事例シートと取材質問 10 問
- 掲載許可の依頼メールとチェック表
- PDF 配布の手順と効果記録シート
つまずきポイントと回避策
導入事例作りでは、いくつかの共通したつまずきがあります。事前に把握しておくと対処がしやすくなります。
取材先から依頼を断られる場合、公開範囲や確認プロセスへの不安が理由になっていることが多いです。依頼段階で「社名を出さない匿名掲載」など柔軟な選択肢を提示すると、承諾率が上がることがあります。断られた理由を聞いた上で、条件を変えて再度依頼できないか検討します。
原稿確認が長期化する場合、指摘が複数回に分かれていることが原因になりがちです。確認依頼の時点で「まとめて1回で指摘してもらう」ことを明示し、期限も併せて伝えます。担当者の上長確認が必要な企業では、確認フローに時間がかかることを見越して余裕あるスケジュールを組みます。
良い話だけになり説得力が落ちる場合、導入前の課題や検討時の悩みが十分に描かれていないことが原因です。成果だけでなく、導入前にどれだけ困っていたかを具体的に書くことで、読者の共感を引き出せます。担当者への確認で表現が弱まっても、事実に基づく課題の記述は極力残すよう調整します。
写真や図版の準備が間に合わず公開が遅れることもあります。取材当日にオフィスや製品の写真を数枚撮影させてもらう、取材先に既存の写真素材がないか確認するなど、原稿と並行して画像素材の手配を進めておきます。原稿が完成してから素材待ちで止まる事態を防げます。
取材した内容が想定と違い、想定していた原稿の構成に当てはまらないこともあります。無理に当初の構成に押し込めず、実際に語られた課題・決め手・効果を軸に構成を組み直します。取材前に立てた仮説にこだわりすぎると、担当者の実感からずれた原稿になりやすいためです。
社内の承認プロセスに時間がかかる場合もあります。特に大企業では、広報部門やコンプライアンス部門の確認が加わることがあり、担当者個人の判断だけでは公開まで進まないことがあります。依頼段階で「社内承認にどの程度の期間が必要か」を確認しておくと、公開スケジュールの見込みが立てやすくなります。
取材はできたものの、担当者の発言だけでは記事として弱いと感じる場合、追加で数値データの提供を依頼する方法もあります。定性的な感想に加えて、業務時間の削減率や対応件数の変化など、定量的な裏付けが1つでもあると記事の説得力が大きく変わります。
複数の担当者から異なる話を聞いた結果、原稿の軸がぶれることもあります。その場合は、記事の目的とターゲットに立ち返り、どの話を主軸にするかを一度整理し直します。すべての発言を盛り込もうとすると論点が拡散するため、伝えたいメッセージを1つに絞り、それ以外の話は補足として扱う判断も必要です。
想定より原稿の分量が膨らんでしまう場合は、課題・決め手・効果のどれか1つを主軸に据え、他の要素は簡潔にまとめる判断も有効です。すべての情報を詰め込んだ長い原稿より、伝えたいメッセージが明確な原稿のほうが、読者の記憶に残りやすくなります。
取材先の担当者が異動・退職してしまい、確認や公開の連絡が滞ることもあります。取材依頼の段階で後任の連絡先も確認しておく、公開までのスケジュールに余裕を持たせておくといった対策で、進行が止まるリスクを減らせます。担当者が変わった場合は、改めて公開範囲や表現について確認を取り直すと安全です。
効率化のヒント
取材の負担を減らしたい場合や、既に作った事例をより多くのリードに触れさせたい場合には、次の2つの選択肢があります。
取材を断られてしまった場合は、インタビュー形式にこだわらず、アンケート回答と担当者コメントのみで作る簡易版も選択肢になります。設問をあらかじめ用意し、回答をもとに短いコメントとしてまとめる形式なら、取材時間を確保できない企業でも協力を得やすく、最低限の材料で1本の事例に仕上げられます。取材形式に比べると情報の深さは劣りますが、事例をゼロ本のまま止めるよりは、簡易版でも1本公開しておくほうが営業の場面で活用しやすくなります。
簡易版のアンケートは、質問設計で挙げた課題・決め手・効果の3軸をそのまま設問にし、自由記述で3〜5問程度に絞ります。設問数が多いと回答のハードルが上がり、依頼への協力が得にくくなるためです。回答が短い場合は、メールや電話で1〜2点だけ追加確認する形で補います。
簡易版で作った事例は、後日あらためて取材の機会をもらえれば、より詳しい内容に更新することも可能です。「まずは簡易版で公開し、関係が深まったタイミングで取材形式に切り替える」という段階的な進め方も、取材先との関係構築の一環として有効です。
取材から原稿化までの一連の作業を毎回ゼロから組み立てると、担当者ごとに進め方がばらつき、品質にも差が出やすくなります。質問リストや依頼メールの文面、確認依頼のテンプレートを社内で使い回せる形にしておくと、2本目以降の事例制作にかかる時間を大きく短縮できます。
また、完成した事例は記事として公開するだけでなく、PDF化してフォーム付きのダウンロードページで配布する方法もあります。資料ダウンロードページの作り方を参考にすれば、事例1本からでもリード獲得の起点として活用できます。なお、複数の事例をまとめて1つの資料に冊子化する方法は本記事の範囲外のため、別の機会に扱います。
導入事例は、1本作って終わりにしないことが重要です。リードジェネレーションとはで紹介しているような他の施策と組み合わせます。営業資料送付後のフォローメールなどの営業活動ともあわせて使うことで、マーケティング・営業双方で継続的に活用できる資産になります。
事例は1本公開して終わりではなく、定期的に本数を増やしていくことで、業種・課題別のバリエーションが揃い、比較検討中の読者が自分に近い事例を見つけやすくなります。まずは1本を丁寧に作り上げ、公開後の反応を見ながら次の取材先を検討していくとよいでしょう。
事例の本数が増えてきたら、業種別・課題別に一覧できるページを用意すると、読者が目的の事例にたどり着きやすくなります。1本目の制作段階では意識しすぎる必要はありませんが、将来的な整理のしやすさを見越して、タイトルや見出しに業種・課題のキーワードを含めておくと、後からの分類がスムーズになります。
PDF をアップロードするだけで資料DLページができます
DocLeadでできることを見る手元の PDF が、30秒後にはリード獲得フォームに。
- PDF をアップロードするだけで、フォーム付きの公開ページが完成
- ダウンロードした人の連絡先が、リードとして自動で貯まる
- 無料プランのまま公開もリード獲得も試せる
クレジットカードの登録は不要です。
