NPSとは?計算方法と少数顧客での使い方を解説
作成日: 2026/08/05 09:00 ・ 更新日: 2026/09/08 00:00
執筆: DocLead 運営
この記事の結論
NPSとは推奨度を0〜10で聞いて算出する指標で、顧客数の少ないBtoBでは数値より回答理由の方が重要になります。
「顧客満足度は悪くなさそうなのに、なぜか紹介や継続利用につながらない」。こうした感覚のズレを数値で捉え直す指標として、NPS(Net Promoter Score)が使われます。本記事ではNPSの意味・計算方法を簡潔に整理したうえで、BtoBや新規事業のPoC検証のように顧客数が少ない場面でNPSをどう扱うべきかを解説します。関連するBtoBマーケティング用語はBtoBマーケティング用語集でまとめて確認できます。
NPSとは
NPS(Net Promoter Score・ネットプロモータースコア)とは、顧客が自社の商品やサービスをどれだけ他人にすすめたいと思っているかを数値化した指標です。顧客ロイヤルティ(企業やブランドへの信頼・愛着の強さ)を測る指標として、BtoC・BtoBを問わず幅広い業界で使われています。
NPSが重視される理由は、単純な満足度アンケートよりも将来の行動(継続利用・紹介・解約)と結びつきやすいとされているためです。満足度が高くても、他人にすすめるほどの積極的な評価とは限りません。「すすめたいか」という一段階踏み込んだ問いによって、顧客の本音に近い評価を引き出そうとする指標です。
NPSはもともと海外の消費者向けサービスで広まった指標ですが、現在ではBtoBのSaaSや法人向けサービスでも、契約継続率やアップセルとの相関を見る目的で導入が進んでいます。定期的に測定することで、単発のアンケートでは見えにくい評価の変化を追跡できる点も特徴です。
一方で、NPSはあくまで単一の数値指標であり、それだけで顧客理解が完結するわけではありません。回答者の心理状態や設問の聞き方によってもスコアは変動しやすく、数値の裏にある理由を合わせて把握することが欠かせません。次の章で計算方法を確認したうえで、数値の扱い方を見ていきます。
NPSの計算方法
NPSは「他人にすすめる可能性」を11段階で尋ね、回答を3グループに分類してから計算します。計算式自体はシンプルですが、分類の考え方を押さえておく必要があります。
設問と回答の分類
NPSの測定では「この商品(サービス)を友人や同僚にすすめる可能性はどのくらいありますか」という設問に対し、0点(全くそう思わない)から10点(非常にそう思う)の11段階で回答してもらいます。
回答結果は、次の3グループに分類します。
- 推奨者(9〜10点):積極的に他人にすすめたいと考えている顧客
- 中立者(7〜8点):満足はしているが、積極的な推奨には至らない顧客
- 批判者(0〜6点):不満や懸念を抱えており、周囲にネガティブな評価を伝える可能性がある顧客
計算式とスコアの目安
NPSの計算式は次のとおりです。
NPS = 推奨者の割合(%)− 批判者の割合(%)
例えば、回答者のうち推奨者が40%、中立者が35%、批判者が25%だった場合、NPSは40−25=15になります。中立者はスコアの計算には使いませんが、次に批判者へ転じるか推奨者へ転じるかが読みにくい層として、コメント内容は参考になります。
NPSの理論上のレンジは-100〜+100で、業界や商材によって水準の目安は大きく異なります。出典を明示しない「平均◯点」といった数値は業界差が大きく参考にしにくいため、本記事では断定は避けます。重要なのは絶対値そのものより、自社の過去データとの比較や、施策前後での変化を継続的に追うことです。
またNPSは、中立者を計算式に含めない点も特徴です。中立者は「不満はないが積極的な推奨もしない」層で、次回の測定で推奨者に転じることもあれば、批判者側に流れることもあります。スコアの計算には含まれなくても、中立者からのコメントには改善のヒントが多く含まれることがあるため、集計の際に切り捨てず内容を確認しておくとよいでしょう。
BtoB・新規事業の検証フェーズでNPSを使う際の限界
NPSは本来、ある程度まとまった回答数を前提に設計された指標です。BtoBの新規事業やPoC(Proof of Concept・小規模な実証実験)の検証フェーズでは、この前提が崩れやすい点に注意が必要です。
最大の課題は、顧客数そのものが少ないことによるサンプルの偏りです。BtoCの一般消費者向けサービスと異なり、BtoBの新規事業では検証段階の顧客が数社〜数十社にとどまることが珍しくありません。回答者が数人であれば、たった1人の評価がスコア全体を大きく動かしてしまいます。例えば5人中1人が批判者(0点)に回答しただけで、NPSは-20ポイント変動します。これでは、施策の効果なのか、たまたま1人の回答が変わっただけなのかを区別できません。
さらに、法人向けアンケートは回答率自体が低くなりやすいという課題もあります。回答してくれた顧客と、回答しなかった顧客とでは評価の傾向が異なる可能性があり、届いた回答だけを見ていると実態より良い(あるいは悪い)印象を持ってしまう恐れがあります。
加えて、PoC検証段階の顧客は自社サービスの初期利用者として協力的な姿勢の顧客が多く選ばれがちで、一般的な顧客層より評価が甘くなる傾向も考えられます。検証中に高いNPSが出たとしても、それがそのまま本格展開後の評価を保証するものではない点は意識しておく必要があります。
こうした限界がある以上、PoC検証フェーズでNPSのスコアそのものを経営指標のように扱うのは適切ではありません。スコアは「参考値の一つ」として扱い、後述するように定性的な情報と組み合わせて解釈することが実務的な使い方になります。
少数顧客でもNPSを機能させる使い方
顧客数が少ない段階では、NPSのスコアを「点」として見るのではなく、回答理由や経時変化という「線」で見る使い方が有効です。
具体的には、次のような工夫が考えられます。
- スコアより自由記述を重視する:設問後に「そのように回答した理由」を自由記述で聞き、なぜその点数を付けたのかを個社ごとに読み込む。少数サンプルでは統計的な傾向より、個々の声の内容の方が意思決定に使える情報量が多い
- 個社を特定して定性的に読む:BtoBでは回答者が特定の担当者に紐づきやすいため、匿名集計ではなく「どの顧客がどう評価したか」を把握したうえで、営業・カスタマーサクセス側の肌感覚と突き合わせる
- 同じ顧客への継続計測で変化を見る:一時点のスコアの絶対値ではなく、同じ顧客に一定間隔でNPSを聞き続け、点数が上がったか下がったかという変化に注目する。母数が少なくても、同一顧客内の変化は比較の軸として機能しやすい
- 営業・カスタマーサクセスの定性情報と突き合わせる:商談やサポート対応の中で得られる担当者の声とNPSの回答を並べて見ることで、数値だけでは見えない評価の背景を補える
PoC検証中は、資料やホワイトペーパーを通じて顧客に事前の期待値を正しく伝えられているかどうかも、NPSの評価に影響します。DocLead はPDFの資料をアップロードするだけでリード獲得フォーム付きの共有ページを発行できるツールで、資料のダウンロード状況やページのPV(閲覧数)を計測できます。検証段階の顧客がどの資料をどれだけ見ているかを把握しておくと、NPSの回答理由を解釈する際の材料の一つになります。
解約予兆としてのNPS活用
NPSは満足度の把握だけでなく、解約の予兆を早期に捉える手がかりとしても活用できます。批判者に分類された顧客や、過去の回答からスコアが大きく下がった顧客は、契約継続に不安を抱えている可能性が高い層です。
特にBtoBのサブスクリプション型サービスでは、解約は突然起きるのではなく、不満の蓄積を経て顕在化することが多いとされています。NPSの回答理由を定期的にチェックし、批判者やスコア低下の兆候が見えた顧客には、営業やカスタマーサクセスから能動的にフォローする運用が有効です。解約防止の考え方全体はチャーンレートの解説記事やSaaSのチャーンレートの水準感を扱った記事、能動的な顧客支援の進め方はカスタマーサクセスの解説記事で詳しく整理しています。
NPSを解約予兆として使う際も、スコア単体で判断するのではなく、利用状況のモニタリングなど他の指標と組み合わせて総合的に評価することが重要です。特に少数顧客のPoC検証フェーズでは、1社の評価変化がそのまま重要なシグナルになり得るため、批判者に転じた顧客がいた場合は速やかに理由をヒアリングする体制を整えておくと、解約や離脱を未然に防ぎやすくなります。
よくある質問
NPSの平均値はどれくらいですか。
業界や商材によって水準が大きく異なるため、一概に「良い数値」を断定するのは難しい部分があります。まずは自社の過去データとの比較や、施策前後でのスコアの変化を継続的に追うのが実務的です。
NPSとCSAT(顧客満足度調査)は何が違いますか。
CSATは特定の体験(購入直後・問い合わせ対応後など)に対する満足度を直接尋ねる指標で、短期的な体験の評価に向いています。一方NPSは「他人にすすめたいか」という一段階踏み込んだ問いで、より長期的な顧客ロイヤルティを捉えようとする指標です。両者は目的が異なるため、使い分けるか併用するのが一般的です。
NPSはどのくらいの頻度で聞くべきですか。
顧客数や事業フェーズによって適切な頻度は異なります。少数顧客のPoC検証フェーズでは、頻繁に聞きすぎると回答疲れを招くため、四半期など一定間隔を空けつつ、自由記述で理由を丁寧に聞く運用が現実的です。
手元の PDF が、30秒後にはリード獲得フォームに。
- PDF をアップロードするだけで、フォーム付きの公開ページが完成
- ダウンロードした人の連絡先が、リードとして自動で貯まる
- 無料プランのまま公開もリード獲得も試せる
クレジットカードの登録は不要です。

