RFPテンプレートの作り方と読み解き方
作成日: 2026/08/05 09:00 ・ 更新日: 2026/09/08 00:00
執筆: DocLead 運営
この記事の結論
RFPのテンプレートは、背景・要件・スケジュール・評価基準を揃えることで提案の比較可能性が確保できます。
RFP(提案依頼書)とは
RFP(Request For Proposal)とは、発注者が「何を解決したいか」「何を求めているか」を整理し、複数のベンダー候補に提案を依頼する文書です。システム開発やツール導入、Webサイトリニューアルなど、比較検討を伴う発注で作成します。
似た言葉に RFI(Request For Information、情報提供依頼)があります。RFI は情報収集段階で使う簡易な問い合わせで、市場にどんな選択肢があるか・大まかな相場感を把握する目的で送ります。RFP はその先の本格的な提案依頼にあたり、要求要件やスケジュール、予算感まで踏み込んで記載します。RFP を受け取ったベンダーが作成するのが提案書で、RFP と提案書は「依頼」と「回答」の関係にあります。
RFP を作る目的は、ベンダーごとに提案の前提をそろえ、比較しやすくすることです。RFP がないまま口頭や断片的な情報だけで発注すると、ベンダーごとに解釈がずれ、後から「思っていたものと違う」というトラブルにつながります。たとえば「使いやすいシステムにしたい」という要望だけを伝えると、あるベンダーは画面デザインの改善を提案し、別のベンダーは操作手順の削減を提案するかもしれません。どちらも間違いではありませんが、発注者が本当に求めていたものとずれる可能性があります。
RFP がもたらす効果は主に3つあります。1つ目は比較の公平性です。同じ条件・同じ期限で複数社に依頼することで、提案内容を横並びで比較できます。2つ目は認識のすり合わせです。発注者側が要求を文書化する過程で、社内の関係者間の認識違いにも気づきやすくなります。3つ目は後工程のトラブル防止です。要求要件を書面で残しておくことで、契約後に「言った・言わない」の食い違いが起きにくくなります。
RFP は発注者側だけが作成するものではなく、受け取ったベンダー側にとっても提案の精度を左右する重要な文書です。本記事では発注側の作り方だけでなく、ベンダー側の読み解き方・提案資料への落とし込み方まであわせて解説します。提案資料に限らない営業資料全般の作り方は営業資料作成 完全ガイド|種類から効率化までで網羅的に解説しています。
RFPに必須の記載項目とテンプレート構成
RFP には決まった書式はありませんが、実務でよく使われる構成はほぼ共通しています。次の8項目を押さえれば、業種やプロジェクトの種類が変わっても流用できます。
- 背景・目的: なぜこのプロジェクトが必要か、経営上の課題
- 対象範囲: どこまでを依頼するか(開発のみか、運用保守も含むか等)
- 現状の課題: 現行システムや業務の困りごと
- 要求要件: 必須要件と任意要件を分けて記載
- スケジュール: 提案提出期限、選定時期、稼働開始希望日
- 予算感: 上限額やレンジ(非公開の場合は「応相談」でも可)
- 選定基準: 何を重視して選ぶか(価格・実績・体制など)
- 提出方法: 提案書のフォーマット、問い合わせ窓口、質疑応答の期限
この8項目をそのまま見出しにすれば、RFP のテンプレートとして使えます。項目ごとの書き方のポイントは次のとおりです。
- 背景・目的: 経営課題まで遡って書く。「old システムが老朽化したから」だけでなく「老朽化により保守コストが増え、新機能追加に着手できていない」のように、課題の影響まで書くとベンダーが優先順位を判断しやすくなります。
- 対象範囲: 依頼する業務の境界を明確にします。「開発のみ」なのか「要件定義から運用保守まで」なのかを書かないと、見積もりの前提がベンダーごとにばらつきます。
- 現状の課題: 定性的な困りごとに加え、可能であれば件数や頻度などの具体情報を添えると説得力が増します。
- 要求要件: 必須要件・任意要件を分けて記載します。必須要件は「対応必須」、任意要件は「対応できれば加点」という位置づけを明記しましょう。
- スケジュール: 提案提出期限だけでなく、選定時期・契約時期・稼働開始希望日まで一連で示します。
- 予算感: 上限額やレンジ(非公開の場合は「応相談」でも可)を示します。
- 選定基準: 価格・実績・体制・保守対応力など、何を重視するかを書きます。
- 提出方法: 提案書のフォーマット、問い合わせ窓口、質疑応答の期限を明記します。
以下は、この8項目をそのままテンプレートの構成例として並べたものです。
1. 本プロジェクトの背景・目的
2. 依頼する業務の範囲
3. 現状の課題
4. 要求要件(必須/任意)
5. スケジュール
6. 予算
7. 選定基準
8. 提案書の提出方法・問い合わせ先
このうち特に重要なのが「要求要件」です。要件を必須と任意に分けずに列挙すると、ベンダーはどこまで対応すればよいか判断できず、過剰な提案か不足した提案のどちらかに寄りがちです。必須要件は「対応必須」、任意要件は「対応できれば加点」という位置づけを明記しましょう。
RFP作成の進め方5ステップ
RFP は一人で書き上げるものではなく、社内の関係者を巻き込みながら整えていく文書です。次の5ステップで進めると、抜け漏れなく作成できます。
- 目的を整理する: なぜ発注するのか、達成したい状態を1〜2文で言語化します。目的が曖昧なまま項目を埋め始めると、要求要件が発散しやすくなります。
- 現状の課題を棚卸しする: 現場の担当者にヒアリングし、困りごとを具体的に集めます。担当者ごとに感じている課題が異なることも多いため、複数部門から聞き取るのが望ましいです。
- 要求要件をまとめる: 課題から逆算して必須要件と任意要件に分類します。「あったら便利」レベルの要望まで必須にすると、対応できるベンダーが極端に絞られる場合があるため注意します。
- 社内で合意を取る: 予算や選定基準を決裁者と合意し、稟議を通します。この段階で決裁者の承認が得られていないと、後からスケジュールや予算の記載を修正することになりかねません。
- ベンダーへ送付する: 提出期限・質疑応答の窓口を明記して複数社に同時送付します。送付するタイミングをそろえることで、比較条件を公平に保てます。
このうち特に手間がかかりやすいのが4番目の社内合意です。RFP に記載する予算やスケジュールは、決裁者の承認が前提になります。稟議を通す資料の作り方は目的や背景の書き方に共通点が多いため、あわせて確認しておくと社内合意までの流れがスムーズになります(稟議が通る資料の作り方)。
ベンダーがRFPを受け取ったときの読み解き方
ここまでは発注側の視点で解説しました。ここからは、RFP を受け取って提案する側(ベンダー)の視点に立って、読み解き方を解説します。RFP のテンプレート記事は発注側向けの解説がほとんどで、受け取る側の実務にはあまり触れられていません。
RFP を受け取ったら、まず次の3点を確認します。
- 必須要件と任意要件の見分け: 「必須」の記載がない場合でも、背景・課題の記述から重要度を推測する。現状の課題として繰り返し言及されている項目は、明記がなくても実質的に必須と捉えるべきです。
- 行間にある本当の課題: RFP に書かれた要求は、発注者が言語化できた範囲にすぎません。背景・目的のセクションを読み込み、要求の裏にある業務課題を推測します。
- 不明点のリスト化: スケジュールや予算感が曖昧な場合、提案前の質疑応答で確認します。質問は箇条書きでまとめ、期限内に一括送付するのが基本です。
RFP の記載が薄い(要求要件だけが箇条書きで並び、背景が数行しかない)場合は、提案の的が外れるリスクが高くなります。この場合は質疑応答で「本プロジェクトを通じて解決したい業務課題は何か」を確認し、提案の前提をそろえてから作業に入りましょう。
もう一つ見落としやすいのが、RFP に登場する評価者と、実際に稟議で決裁する人物が一致するとは限らない点です。RFP の窓口担当者は現場部門であっても、最終的な予算承認は情報システム部門や経営層が行うケースがあります。窓口担当者へのヒアリングだけで提案の方向性を決めず、可能であれば選定基準の背景にある決裁ラインも質疑応答で確認しておくと、提案の説得力が上がります。
RFPの要求項目を提案資料に落とし込む方法
RFP を読み解いたら、要求項目を提案資料の構成に変換します。RFP の項目と提案資料の対応関係は次のようになります。
| RFPの項目 | 提案資料での扱い方 |
|---|---|
| 背景・目的 | 提案の冒頭で課題認識を復唱し、自社の理解を示す |
| 現状の課題 | 課題ごとに解決策を紐づけて章立てする |
| 必須要件 | 対応可否を明示し、対応方法を具体的に書く |
| 任意要件 | 対応できる場合は加点材料として明記する |
| 選定基準 | 基準に沿って自社の強みを整理する |
| スケジュール・予算 | RFPの希望と自社の見積もりの差分を説明する |
このマッピングを飛ばしてテンプレートの型どおりに提案資料を作ると、発注者側の「読んでほしいポイント」とずれた提案になりがちです。提案資料そのものの構成や書き方は、手順を追って解説した記事を参考にしてください(提案資料の作り方)。
また、複数ベンダーの提案が比較される前提の RFP では、発注者が横並びで比較しやすい資料になっているかも重要です。比較される場面を意識した資料作りは、比較資料の作り方の考え方が参考になります(比較資料の作り方)。
提案資料の分量は、RFP の要求要件数に比例して増えがちですが、すべての項目を同じ厚さで書く必要はありません。選定基準で重視されている項目(価格・実績・体制など)に紙面を厚く配分し、それ以外は簡潔にまとめる方が、発注者にとって読みやすい提案書になります。
RFP には決裁者だけでなく複数の関与者(情報システム部門・現場部門・経営層など)が絡むケースが多く、提案資料の宛先を一人に絞らないことも重要です。誰がどんな立場で意思決定に関わるかを整理する考え方は、購買の意思決定関与者(DMU)の解説記事で扱っています(DMU(購買の意思決定関与者)とは)。
RFP や提案資料の作成そのものに時間がかかる場合は、生成AIを使って下書きを効率化する方法もあります(生成AIを使った資料作成)。また、要求要件の技術的な不確実性が高い案件では、本提案の前にPoC(概念実証)が求められることもあります。有償・無償の切り分けや本契約への転換の進め方はPoC営業の進め方|有償無償の判断と本契約への転換で解説しています。
よくある質問
RFP の分量はどのくらいが適切ですか。
プロジェクトの規模によりますが、8項目の構成であれば A4で3〜5枚程度に収まることが多いです。分量よりも、要求要件が具体的かどうかが重要です。
RFP なしで発注してもよいですか。
小規模な発注であれば口頭やメールのやり取りだけで進めることもできます。ただし複数ベンダーを比較する場合や、社内で予算の稟議を通す必要がある場合は、RFP を作っておくと後工程がスムーズです。
RFP に記載した予算は必ず開示すべきですか。
金額そのものを開示しなくても、上限のレンジを示すだけでベンダー側の見積もり精度は上がります。非開示にすると、要求と乖離した見積もりが返ってくるリスクがあります。
ベンダー側が質問できる期間はどのくらい必要ですか。
提案準備期間の1〜2割程度を質疑応答に充てるケースが一般的です。期限を明記しないと、確認が漏れたまま提案が進んでしまいます。
手元の PDF が、30秒後にはリード獲得フォームに。
- PDF をアップロードするだけで、フォーム付きの公開ページが完成
- ダウンロードした人の連絡先が、リードとして自動で貯まる
- 無料プランのまま公開もリード獲得も試せる
クレジットカードの登録は不要です。

