ABM事例|実践パターン別に見る進め方
作成日: 2026/07/22 20:20 ・ 更新日: 2026/09/08 00:00
執筆: DocLead 運営
この記事の結論
ABMの事例はOne to One・One to Few・One to Manyの3パターンに整理でき、中小企業はFewから始めるのが現実的です。
「ABMの事例を見てみたい」と思っても、企業規模や業種が違う成功事例をそのまま参考にするのは難しいものです。ABM(アカウントベースドマーケティング。重要な取引先候補企業を先に決め、営業とマーケティングが連携して個別に働きかける手法)は、進め方が企業の数によって大きく変わります。本記事では、ABMの実践パターンを整理し、それぞれでどんな動きになるのかを想定シナリオで解説します。自社に近いパターンを見つける手がかりにしてください。
ABM事例を見る前に知っておきたい3パターン
ABMの実践パターンは、対象企業数によって「One to One」「One to Few」「One to Many」の3つに分かれます。自社のパターンを先に把握してから事例を見ると、必要な体制やコストの見当がつけやすくなります。
- One to One:1社ごとに専用の提案・コンテンツを用意する。対象は数社〜十数社。1社あたりの取引額が大きい業種(大型システム導入・設備投資など)に向く。
- One to Few:業種や課題が似た数社〜数十社をグループ化し、グループ単位で共通のアプローチを設計する。個社対応より工数を抑えられる。
- One to Many:既存のリードデータベースから条件で絞り込んだ数百社規模に、スコアリングやコンテンツ配信で優先順位をつけて対応する。デマンドジェネレーション(見込み客を集めて育成する一連の活動。こちらの記事で全体像を解説)に近い運用になる。
パターンの選び方や体制づくりの基礎はABMの基礎ガイドで解説しているので、初めて取り組む場合はあわせて確認してください。ABMを含むリード獲得施策の全体像はBtoBリード獲得 完全ガイドで整理しています。
どのパターンを選ぶかは、対象企業の数だけでなく「1社を逃したときの損失の大きさ」でも判断できます。1社あたりの取引額が大きく、失注の影響が大きい商材ほどOne to One寄りに、逆に対象企業数が多く個社対応の工数が見合わない商材ほどOne to Many寄りになる傾向があります。自社の商材がどちらに近いかを最初に整理しておくと、事例を読んだときに「自社にも当てはまるか」を判断しやすくなります。
パターン別の実践シナリオ
ここでは、実在企業の詳細な数値までは公開情報だけでは裏付けが取れないため、パターンごとの典型的な進め方を想定シナリオとして紹介します。自社の状況に置き換えて読んでみてください。
One to Oneの例:大型商談の個社別アプローチ
例:エンタープライズ向けにシステム導入を提案するIT企業が、既存の取引実績や業界動向から重要度の高い数社を選定し、各社の課題に合わせた提案資料を個別に作成するケースです。営業担当が対象企業の決裁者・現場担当者それぞれに向けた資料を用意し、商談の進捗に合わせて内容を出し分けます。
決裁者向けには経営課題との紐づけを強調した資料、現場担当者向けには運用面の具体性を重視した資料というように、同じ企業でも役職によって伝える内容を変えるのが特徴です。1社あたりの準備コストは高くなりますが、取引額が大きい商材では投資対効果が見合いやすいパターンといえます。対象企業を絞りすぎると母数が小さくなり、成果が出るまで時間がかかる点には注意が必要です。
One to Fewの例:業種別コンテンツのグループ展開
例:同じ課題を抱えやすい業種(製造業の複数社など)をまとめて、業種共通の課題解決を切り口にした資料やセミナーを用意するケースです。個社別に作り込むOne to Oneほどの工数はかけず、グループ単位で刺さる訴求を設計します。
グループ分けの軸は業種だけでなく、企業規模・抱えている課題の傾向・過去の商談での反応などでも設定できます。業種特有の悩みを扱ったホワイトペーパーを用意し、ダウンロードした企業の反応を見ながら、反応が良かった企業だけ個社対応に切り替えるといった段階的な進め方もよく見られます。One to Oneほどの作り込みは不要な分、最初のグループ分けの精度が成果を左右します。
One to Manyの例:スコアリングを使った優先順位づけ
例:既存リードの中から、資料ダウンロードの頻度や閲覧ページの傾向をもとにスコアをつけ、優先度の高い企業から営業がアプローチするケースです。インテントデータ(企業が今どんな情報を探しているかを示す行動データ。こちらの記事で詳しく解説)を組み合わせると、購買意欲が高まっているタイミングを見極めやすくなります。
スコアリングの基準は、資料のダウンロード回数だけでなく「どの資料をダウンロードしたか」も重要です。導入検討段階向けの資料をダウンロードした企業は、比較検討段階向けの資料をダウンロードした企業より優先度を上げる、といった重みづけが一般的です。対象企業数が多いパターンのため、営業がすべてに個別対応するのは現実的でなく、スコアの高い企業から順に対応する運用が前提になります。
このパターンでは、どの企業がどの資料をダウンロードしたかを把握できる仕組みが土台になります。資料をアップロードするだけでダウンロードした企業を記録できるツールを使えば、専任のマーケ担当がいない体制でも優先度づけの材料を集めやすくなります。
ABM事例から見えるメリットとデメリット
パターンによらず共通するメリットは、狙った企業への働きかけが的確になり、営業とマーケティングの動きがそろうことです。一方でデメリットは、対象企業の選定やコンテンツ準備に一定の工数がかかる点です。
- メリット:無駄打ちが減り、商談化までの動きが揃いやすい。営業側も「誰に何を届けたか」を把握しやすくなる。
- デメリット:対象企業の選定基準づくりや個社別コンテンツの準備に時間がかかる。ツール導入のコストが発生する場合もある。
ツールを比較検討する場合は、ABMツール比較で企業データベース・MA・SFAなど各カテゴリの特徴を整理しているので参考にしてください。
中小企業がABM事例を参考に始める手順
ABMは一般的に、大企業の専任チーム前提の事例で語られがちです。ただし、体制が小さい会社でも次の順番で小さく始められます。
- 過去の取引実績や商談履歴から、優先したい企業の条件を書き出す。
- 対象企業の課題に合わせた資料(ホワイトペーパー・事例集など)を1〜2本用意する。
- 資料を公開し、フォーム経由でダウンロードした企業を記録する。
- ダウンロードした企業に対して営業がフォローする流れを決める。
この一連の流れは、専任のマーケ担当がいない会社でも回しやすい範囲です。資料のアップロードから公開ページの発行、ダウンロードした企業の記録までを一つのツールでまかなえれば、体制構築の初期コストを抑えられます。
よくある質問
ABMは中小企業でも導入できますか。
One to Fewやスコアリングを使ったOne to Manyのパターンであれば、専任チームがなくても始めやすい傾向があります。まずは対象企業の絞り込みと資料の準備から着手するのが現実的です。
ABMの効果はどのくらいで見えますか。
対象企業の商談サイクルの長さによって変わります。一般的な傾向として、取引額が大きく検討期間が長い商材ほど、効果が見えるまでの期間も長くなる点は踏まえておく必要があります。
ABMとデマンドジェネレーションはどう違いますか。
ABMは対象企業を先に絞り込むのに対し、デマンドジェネレーションは幅広いリードを集めて育成する考え方です。両者は排他的ではなく、組み合わせて使われることも多くあります。詳しくはデマンドジェネレーションの解説記事を参照してください。
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