深耕営業とは?新規開拓との違いと進め方を解説
作成日: 2026/08/12 23:17 ・ 更新日: 2026/09/08 00:00
執筆: DocLead 運営
この記事の結論
深耕営業とは既存顧客との関係を深めて取引額を広げる手法で、新規開拓より低いコストで売上を積み上げられます。
新規開拓の商談化率が下がり、営業リソースをどこに投じるべきか悩んでいる担当者は少なくありません。実はその答えの一つが、すでに取引のある既存顧客の中にあります。深耕営業とは、既存顧客との関係を深め、取引の幅や規模を広げていく営業活動のことです。この記事では、深耕営業の定義から新規開拓との違い、具体的な進め方、アップセル・クロスセルとの関係までを整理します。商談全体の進め方から見直したい場合は、営業スキル・商談の進め方 完全ガイドも参考にしてください。
深耕営業とは何か
深耕営業とは、すでに取引関係のある既存顧客に対して、追加提案や利用範囲の拡大を通じて取引を深めていく営業スタイルです。「耕す」という字が示す通り、一度築いた関係という土壌を丁寧に耕し続けることで、長期的な収益を育てる考え方が根底にあります。
新規開拓が「新しい土地を開く」活動だとすれば、深耕営業は「すでにある畑の収穫を最大化する」活動といえます。既存顧客はすでに自社の商品・サービスを利用しており、信頼関係や導入実績という土台があります。この土台を活かして、追加の部署への展開、上位プランへの切り替え、関連商品の提案などを行うのが深耕営業の実務です。
BtoBでは特に、1社あたりの取引規模を広げられる余地が大きい業界(製造業・商社・士業など)で重視される傾向があります。取引先の組織内には、まだアプローチできていない部署や決裁者が存在することが多く、深耕営業はそうした「顧客内シェア」を広げる活動とも言い換えられます。関連して、商社の新規開拓と既存深耕の使い分けも参考になります。
新規開拓との違い
深耕営業と新規開拓は、対象とする顧客とアプローチの前提が根本的に異なります。両者を混同すると、施策の設計や評価指標がずれてしまうため、まず違いを整理しておく必要があります。
| 観点 | 新規開拓 | 深耕営業 |
|---|---|---|
| 対象 | 未取引の見込み顧客 | すでに取引のある既存顧客 |
| 起点 | 信頼関係がゼロからのスタート | 既存の信頼関係・導入実績が土台 |
| 主な活動 | テレアポ・展示会・広告などでの接点作り | 定期訪問・活用状況のヒアリング・追加提案 |
| 成果指標 | 新規商談数・新規受注数 | 取引拡大額・継続率・顧客単価 |
| リードタイム | 比較的長い(信頼構築から必要) | 比較的短い(すでに関係がある) |
新規開拓は市場全体からターゲットを見つけ出す「探索型」の活動である一方、深耕営業は既存の関係性を前提にした「育成型」の活動です。一般的な傾向として、新規開拓のコストは既存顧客への深耕営業よりも高くつきやすいとされ、既存顧客との関係を深める施策は投資対効果が見えやすい点も特徴です。
ただし、深耕営業だけに偏ると新規顧客数が頭打ちになり、既存顧客の解約や取引縮小が起きた際に事業全体が揺らぐリスクがあります。多くの企業は新規開拓と深耕営業を両輪で回し、事業のフェーズに応じて比重を調整しています。

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深耕営業の進め方
深耕営業は「関係を深める」という抽象的な目標だけでは動けません。次のステップに分解して進めることで、再現性のある活動にできます。
- 既存顧客の現状把握:取引金額・利用状況・接点部署を洗い出し、拡大余地がありそうな顧客を優先順位づけします。特定の顧客について整理する際はアカウントプランの作り方を使うと、組織構造や意思決定者を可視化しやすくなります。
- 活用状況のヒアリング:定期訪問やオンラインミーティングで、現在の利用状況・満足度・課題を確認します。ここで得た情報が、次の提案の精度を左右します。ヒアリング内容は商談議事録の書き方|必須項目とテンプレ・共有のコツの形で記録しておくと、次回訪問時に振り返りやすくなります。
- 課題に紐づく追加提案の設計:ヒアリングで見えた課題に対して、上位プランや関連商品を提案します。売り手都合の提案ではなく、顧客の課題解決を起点に設計することが成約率を左右します。この課題起点の提案の組み立て方は、提案営業とは?御用聞き営業との違いと進め方を解説でも詳しく解説しています。
- 意思決定者への展開:担当者レベルの合意だけでなく、決裁権を持つ部門・役職への接点を広げます。既存の担当者から紹介してもらう形が、深耕営業ならではの進めやすさです。
- フォローと関係維持:提案が通らなかった場合も関係を切らさず、定期的な情報提供や活用支援を続けます。深耕営業は単発の商談ではなく、継続的な関係構築の積み重ねです。
進め方の中で特に重要なのが、提案の根拠となる資料です。既存顧客向けの提案では、汎用的な営業資料ではなく、顧客の利用状況や業界特性に合わせた資料を用意すると納得感が高まります。DocLeadのようなツールを使えば、PDFをアップロードするだけで提案資料をリード獲得フォーム付きの共有ページとして発行でき、資料が実際に開封・ダウンロードされたかを記録できるため、既存顧客が提案資料をどの程度確認しているかを把握する材料にもなります。
休眠顧客の掘り起こしとの関係
深耕営業は「現在取引中の顧客」を対象にしますが、取引が一時的に止まっている休眠顧客の掘り起こしも、広い意味では顧客基盤を耕す活動の一つです。両者は対象顧客の状態が異なるため、アプローチも区別して考える必要があります。
深耕営業が「取引が続いている顧客との関係を広げる」活動であるのに対し、休眠顧客の掘り起こしは「一度離れた関係を再び動かす」活動です。休眠化の理由(担当者交代・予算縮小・競合への切り替えなど)を把握したうえでアプローチする必要があり、進め方の詳細は休眠顧客の掘り起こし方法で解説しています。どちらも新規開拓に比べて低コストで成果を出しやすい活動である点は共通しています。
アップセル・クロスセルとの関係
深耕営業を実務レベルに落とし込む際によく登場するのが、アップセルとクロスセルという2つの手法です。深耕営業が全体方針であるのに対し、アップセルとクロスセルはその具体的な打ち手にあたります。
アップセルは、既存顧客に対して現在利用中の商品・サービスより上位のプランや高機能なものへの切り替えを提案する手法です。クロスセルは、現在利用中の商品とは別の、関連する商品・サービスを合わせて提案する手法です。どちらも既存顧客との関係を土台にする点で深耕営業の一部といえますが、提案の方向性が異なるため使い分けが必要です。両者の違いや使い分けの判断基準はアップセルとクロスセルの違いで詳しく解説しています。
深耕営業という大きな方針のもとで、顧客ごとに「アップセルが適しているか、クロスセルが適しているか」を見極めて提案を設計することが、取引拡大の精度を上げるポイントです。
深耕営業を進めるうえで陥りやすい落とし穴
深耕営業は既存の関係を土台にできる分、油断すると成果につながらないまま時間だけが過ぎてしまうことがあります。代表的な落とし穴を3つ挙げます。
- 「関係が良好だから」と提案を先延ばしにする:担当者との関係が良いほど、追加提案を切り出すタイミングを逃しがちです。関係の良さと取引拡大は別物と捉え、定期的に提案機会を作る仕組みが必要です。
- 担当者止まりで意思決定者に届かない:現場担当者との関係だけに依存すると、予算を持つ部門・役職まで話が届かず、提案が停滞します。組織図を把握し、複数の接点を意識的に作ることが重要です。
- 顧客の状況変化を追えていない:異動・組織再編・予算方針の変更など、顧客側の状況は常に変わります。定期的なヒアリングを怠ると、的外れな提案をしてしまい、かえって信頼を損ねることもあります。
これらはいずれも、既存顧客だからこそ「分かっているつもり」になることが原因です。深耕営業では、新規開拓と同じくらい丁寧な情報収集とタイミング設計が求められます。
深耕営業の成果をどう見るか
深耕営業の成果は、新規開拓のように商談数や受注数だけでは測りにくい側面があります。取引拡大額・顧客単価の推移・契約更新率・追加提案の採用率など、複数の指標を組み合わせて評価するのが一般的です。
深耕営業の案件も新規商談と同じくステージで管理すると進捗が見えやすくなります。ステージ設計の考え方はパイプライン管理とは?ステージ設計と運用のコツを参考にしてください。特に重要なのが、顧客ごとの取引推移を継続的に追うことです。単月の受注額だけを見るのではなく、半年〜1年単位でどの顧客との取引が広がっているか、逆に縮小している顧客はどこかを可視化すると、次にアプローチすべき顧客の優先順位が見えてきます。提案資料についても、どの顧客にどの資料をどのタイミングで届けたかを記録しておくと、次回提案の精度を上げる材料になります。DocLeadでは公開ページのPV・ダウンロード数を資料ごとにダッシュボードで確認できるため、既存顧客への提案資料がどの程度反応を得ているかを振り返る用途にも使えます。
まとめ
深耕営業とは、既存顧客との関係を深めて取引を拡大していく営業活動であり、新規開拓とは対象もアプローチも異なります。現状把握・ヒアリング・提案設計・意思決定者への展開・関係維持というステップを丁寧に踏むことで、既存顧客からの収益を着実に伸ばせます。休眠顧客の掘り起こしやアップセル・クロスセルといった関連施策と組み合わせながら、自社に合った深耕営業の型を作っていくことが重要です。
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