建設業の人手不足はどれほど深刻か|不足率1.2%・正社員不足65.7%の数字

作成日: 2026/09/16 22:19 ・ 更新日: 2026/09/16 23:00

執筆: DocLead 運営

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この記事の結論

建設業の人手不足は技能者の過不足率が1.2%の不足、正社員不足を感じる企業が65.7%で、受注前工程を省人化しないと機会損失が続きます。

建設業の人手不足とは

建設業の人手不足とは、現場を動かす技能者や技術者の頭数が、受注済みの工事や見込み案件をこなすのに足りていない状態を指します。統計上は「過不足率」という指標で表され、必要な人数に対して実際に確保できている人数がどれだけ不足・過剰かをパーセントで示します。過不足率がプラスであれば人手が余っている状態、マイナスであれば不足している状態です。

建設業では技能者と技術者を分けて考える必要があります。技能者は型枠工・鉄筋工・とび工など現場で施工を担う職人を指し、技術者は施工管理や設計を担う人材を指します。人手不足が語られるとき対象になるのは主に技能者側で、後述する国土交通省の調査も技能者の過不足率を扱っています。

過不足率と、企業に「不足していると感じるか」を尋ねるアンケート調査は、似ているようで測っているものが異なります。過不足率は現場の必要人員数を基準にした客観的な指標であるのに対し、アンケート調査は経営者や担当者の実感を集計したものです。両方を見ることで、現場実務の逼迫度と経営側の危機感の両面から人手不足の実態を捉えられます。

過不足率は「必要人員数」から「実際に確保できている人員数」を差し引き、必要人員数で割って算出する考え方に基づいています。数字がマイナスであるほど、計画どおりに施工を進めるために必要な人数を確保できていないことを意味します。技能者だけでなく技術者が不足している場合も、見積作成や現地調査の日程調整といった受注前工程の担い手が減ることになり、現場の施工能力とは別の形で受注活動に響いてきます。

建設・住宅業界の集客全体を俯瞰したい場合は、建設・住宅業界の集客 完全ガイドで市場動向とあわせて確認できます。人手不足は業界の集客戦略そのものにも影響する変数なので、あわせて読むと全体像がつかみやすくなります。

建設業の人手不足はどれくらい深刻なのか?

建設業の技能者は全国8職種で1.2%の人手不足にあり、不足幅は前月から拡大しています。国土交通省が実施する建設労働需給調査によると、全国の建設現場8職種を対象に、必要な人員数と実際に確保できている人員数の差を過不足率として集計しています。建設労働需給調査結果の令和8年7月分調査によると、過不足率は1.2%の不足でした。これは同年6月分の1.0%の不足から0.2ポイント拡大した数字で、現場の人手が足りない状態が緩和ではなく悪化の方向に動いていることを示しています。

過不足率が1.2%というと小さく見えるかもしれませんが、これは全国8職種を平均した数字です。地域や職種によっては、平均を大きく上回る不足率になっていると指摘されることもあります。とくに型枠工やとび工など、工期を左右しやすい職種で不足が顕著になると、工程全体への影響が大きくなりやすい点には注意が必要です。

過不足率の推移を見るときは、単月の数字だけでなく前月からの変化幅にも注目する必要があります。1.0%から1.2%への0.2ポイントの拡大は、絶対水準としては小さく見えても、不足が改善に向かわず悪化を続けているという方向性を示す点で重要です。月ごとの振れ幅はあるものの、拡大基調が続けば現場の人員配置はより逼迫していくと考えられます。

企業側の実感でも人手不足は深刻な水準にあります。帝国データバンクが実施した調査によると、全業種を対象にした「人手不足に対する企業の動向調査」の結果として、企業の人材確保に対する危機感が業種別に示されています。人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)(有効回答企業数10,538社、調査時点2026年4月16日〜4月30日)によると、建設業で正社員が不足していると回答した企業の割合は65.7%でした。これは情報サービス業(66.7%)、運輸・倉庫業(65.9%)に次ぐ全業種3位の高さです。前年同月比では3.2ポイント低下していますが、それでも約3社に2社が人手不足を感じている状況に変わりはありません。

2つの調査は対象も手法も異なりますが、示している方向は同じです。現場の技能者は足りず、企業の体感としても人材不足は上位業種に位置し続けています。過不足率は現場実務の人員配置の逼迫度、正社員不足の割合は経営側の人事上の危機感を表しており、両面から人手不足の深刻さが裏付けられていると言えます。

数字だけを見ると「人手を増やせば解決する」と考えたくなりますが、採用市場そのものが売り手市場化しているため、採用強化だけで短期間に解消するのは容易ではありません。

現場では何が起きているのか?

人手不足が進むと、工期の調整や施工体制の見直しを迫られる現場が一般的に増える傾向にあります。決まった人数で施工可能な工事量には限りがあるため、受注が増えても人が増えなければ工期を延ばすか、外注や応援を頼むかの選択を迫られます。工期の延長は施主や元請けとの調整コストを増やし、次の案件への着手が遅れる原因にもなります。

現場監督や職人が複数の役割を兼務する動きも一般的な傾向として見られます。本来は施工管理に専念すべき担当者が、人手が足りない工程の応援に入ったり、逆に職人が資材発注や工程管理まで担ったりするケースです。兼務が常態化すると、それぞれの本来業務にかけられる時間が削られ、業務全体の質や余裕が落ちやすくなります。安全管理や品質チェックにしわ寄せが及ぶことも懸念されます。

外注や協力会社への依存度が高まる傾向も指摘されています。自社の技能者だけで施工体制を組めない場合、協力会社への発注を増やして工事を回すことになりますが、協力会社側も同じ人手不足に直面しているため、依頼できる工事量には限界があります。結果として、現場の人繰りに追われる時間が長くなり、他の業務にかけられるリソースが目減りしていきます。

こうした現場の逼迫は、施工そのものだけでなく、社内の管理業務全般にも波及します。日報の作成や進捗報告、次の案件の準備といった業務は後回しにされやすく、その中に営業活動や見積対応も含まれます。

人手不足が慢性化している現場ほど、担当者は「今日の工事を無事に終わらせること」を最優先に判断する傾向があります。その結果、緊急性の低い事務作業は後回しにされ続け、気づいたときには問い合わせへの返信や見積書の作成が数日単位で滞っていることも珍しくありません。

人手不足は受注活動にどう波及するのか?

現場に人員を取られると、見積作成や問い合わせ対応といった受注前工程に手が回りにくくなります。営業専任者を置いていない中小の建設会社では、現場監督や経営者自身が見積作成や施主対応を兼ねているケースが少なくありません。現場が忙しくなるほど、こうした受注前工程は後回しにされがちです。

問い合わせへの返信が遅れると、施主や元請けは他社への相談を先に進めてしまいます。資料請求や見積依頼のメールが届いても、現場業務が優先されて数日放置されることは珍しくありません。検討中の顧客は複数社に同時に相談していることが多く、対応の早さが受注確度を左右します。返信が1日遅れるだけで、先に対応した他社に検討が流れてしまうこともあります。

具体的な局面として分かりやすいのが、見積依頼メールの一次返信です。届いたメールに対して「内容を確認しました、詳細をお伺いします」という一報を返すだけでも相手の安心感は変わりますが、現場対応に追われていると、この一報自体が翌営業日、あるいはそれ以降にずれ込みます。一次返信が遅れるほど、相手の頭の中では「対応が遅い会社」という印象が固まりやすくなります。

現地調査の日程調整も同じ構造で滞りやすい局面です。見積を出す前に現地の状況を確認する必要がある工事では、施主や元請けの都合と現場担当者の空き時間をすり合わせる必要があります。担当者が現場の応援に入っている間はこの調整自体が進まず、候補日を提示するだけで数日かかることもあります。調整が長引くほど施主側の検討スケジュールとずれが生じ、他社の現地調査が先に完了して契約に至るケースも出てきます。

営業担当を置ける規模の会社でも、担当者が現場の応援に駆り出される場面は一般的な傾向として起こり得ます。本来は新規開拓や既存顧客のフォローに使うべき時間が現場対応に消え、営業活動そのものが手薄になっていきます。結果として、問い合わせは来ているのに折り返しの電話や見積書の送付が滞り、案件が塩漬けになったまま失注につながることもあります。

この連鎖の根本にあるのは、受注前工程が人手に依存した設計になっていることです。仕事の依頼は来ているのに、対応する人手が足りずに受注機会を逃すという状態は、人手不足対策としての採用強化だけでは解決しません。仕事はあるのに受注できないという状況が続けば、せっかく認知を獲得できていても売上にはつながらず、機会損失が積み重なっていきます。

こうした機会損失は、広告費や紹介経由の集客コストが無駄になっているのと同じ意味を持ちます。せっかく問い合わせにつながった見込み客に対応できなければ、集客にかけた投資そのものが回収できません。人手不足の影響は現場の生産性だけでなく、営業活動の投資対効果にも及んでいると捉える必要があります。建設業のマーケティング全体の見直しについては、建設業のマーケティング|元請け依存から抜け出す方法で詳しく解説しています。

人手をかけずに受注機会を守るにはどうするか?

人手不足下での受注機会の守り方には、大きく4つの方向性があります。それぞれ効果が出るまでの期間とコストが異なるため、自社の状況に合わせて組み合わせることが重要です。

対策 効果が出るまでの期間 主なコスト 向いている状況
採用強化 長期(半年〜数年) 採用広告費・人件費 事業拡大を見据えた恒常的な体制強化
多能工化 中期(数カ月) 教育・研修コスト 少人数で複数工程をこなしたい現場
外注活用 短期〜中期 外注費・協力会社との調整コスト 繁忙期の一時的な人手不足の緩和
受注前工程の省人化 短期(数週間〜) ツール導入費(比較的低コスト) 見積・問い合わせ対応の遅延を防ぎたい場合

採用強化は最も根本的な対策ですが、応募が集まりにくい業種であるため、求人を出してから実際に現場で戦力になるまで半年から数年単位の時間がかかります。人材確保が急務であるほど、この時間差が経営上のリスクになります。

多能工化は、1人の職人が複数の工程をこなせるようにする教育投資です。少人数でも施工できる範囲が広がる一方、教育には数カ月単位の時間と、教える側の負担も発生します。既存の人員に余力がない状態で始めると、かえって現場の負荷を高めてしまうこともあります。

外注活用は即効性がある一方、協力会社側も同じ人手不足に直面しているため、頼れる量には限界があります。繁忙期の一時的な補完には向いていますが、恒常的な人手不足の根本解決にはなりません。

これらの対策に対して、受注前工程の省人化は現場の人員配置を変えずに始められ、比較的短期間で効果を確認しやすい対策です。現場の人手を増やす対策と、受注前工程を効率化する対策は競合するものではなく、並行して進められます。採用や多能工化に時間がかかる間も、受注機会を取りこぼさないための仕組みを先に整えておく発想が有効です。

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見積前の問い合わせ対応を自動化するにはどうする?

見積前の問い合わせ対応を自動化するには、施工事例や工法資料をダウンロードページとして公開し、閲覧履歴から関心度の高い見込み客を絞り込む方法が有効です。人手をかけずに初期対応を進められるため、現場対応で手一杯な建設会社と相性が良い方法です。

具体的には、施工事例集・工法紹介資料・概算価格表といった、これまで営業担当が個別に説明していた内容をPDF化し、DL用のフォーム付きページとして公開します。施主や元請け候補は都合の良いタイミングで資料を閲覧・ダウンロードでき、担当者はその都度対応する必要がありません。従来は電話や訪問で1件ずつ説明していた内容を、資料という形であらかじめ渡しておけることになります。

この仕組みの利点は、資料をダウンロードした顧客の情報が自動的に蓄積される点にあります。誰がいつどの資料を見たかが分かれば、まだ返信していない問い合わせの中でも、資料を熱心に見ている顧客から優先して連絡することができます。全員に同じ順番で対応するのではなく、関心度の高い相手から先に手をかけられるため、限られた対応時間を最も受注につながりやすい相手に振り向けられます。

資料の種類によって、閲覧が示す検討度合いは異なります。施工事例集を見ている段階は、自社に依頼できそうかどうかをまだ広く比較検討している段階であることが多く、工法紹介資料まで見ている場合は工事の中身への関心が具体的になってきている段階と捉えられます。さらに概算価格表をダウンロードしている場合は、予算感を持って発注先を絞り込んでいる段階に近く、最も見積依頼に近い温度感の顧客と考えられます。どの資料をどこまで見たかを手がかりにすれば、問い合わせ文面だけでは分からない検討の進み具合を推測できます。

この温度感の推測を対応の優先順位付けに落とし込む手順は、次の2ステップで進められます。

  1. ダウンロード履歴を確認し、概算価格表まで閲覧した顧客を最優先グループに分類する
  2. 施工事例集のみ閲覧の顧客は、工法紹介資料や概算価格表への案内を添えて返信し、次の閲覧行動を待ってから優先度を見直す

このように「見積前」の閲覧行動に絞って優先順位をつけるのは、見積書を出した後の対応であれば通常の営業プロセスの中で自然に優先順位がついていくのに対し、見積前の初期対応こそが人手不足で最も後回しにされやすい工程だからです。最初の一報が遅れて他社に流れてしまえば、その後どれだけ丁寧な見積を用意しても比較の土俵にすら乗れません。見積前の段階に絞って優先順位付けを仕組み化することが、限られた人手で受注機会を守るうえで効果が大きくなります。

現場が忙しく折り返しの電話がその日のうちにできない状況でも、資料自体は24時間閲覧・ダウンロードが可能です。担当者が現場から戻った後にダウンロード履歴を確認し、優先度をつけて連絡すれば、問い合わせを放置したまま失注するリスクを減らせます。

DocLeadはこうしたPDF資料をアップロードするだけでダウンロードページとフォームを発行できるツールで、閲覧・ダウンロードの発生をリードとして自動的に記録します。営業担当を増やさずに、問い合わせ対応の優先順位付けだけを効率化したい会社に向いています。

工務店のホームページ集客における資料DL導線の具体的な作り方は、工務店ホームページ集客|資料DL導線の作り方で解説しています。リフォーム会社がポータルサイト依存から抜け出す集客手法については、リフォーム会社の集客方法とポータル依存脱却も参考になります。

人手不足対策で失敗しやすい点は?

人手不足対策で失敗しやすいのは、採用強化だけに頼って受注前工程の改善を後回しにすることです。採用は効果が出るまでに時間がかかるため、その間も見積対応の遅延や問い合わせの放置が続き、受注機会を失い続けてしまいます。採用がうまくいったとしても、その間に失った受注機会は取り戻せません。

もう1つの失敗パターンは、ツール導入を目的化してしまうことです。DL導線やフォームを整備しても、資料の中身が施主や元請けの検討材料として不十分であれば、閲覧されても問い合わせにはつながりません。ツールはあくまで対応の効率化を助けるものであり、資料の質や訴求内容の見直しとセットで進める必要があります。

外注活用に偏りすぎることにもリスクがあります。協力会社への依存度を急に高めると、品質管理や工程調整の負荷が別の形で増え、かえって現場対応の手間が増えることがあります。外注先の稼働状況を把握しないまま発注量だけを増やすと、納期遅延や品質トラブルの原因にもなります。

対策を1つに絞り込み、他を後回しにすることも失敗につながりやすい判断です。採用・多能工化・外注・受注前工程の省人化はそれぞれ効果が出る時間軸が異なるため、複数の対策を並行して進め、どれか1つに全面的に依存しない体制を作ることが重要です。

対策の効果測定を後回しにすることも見落とされがちな失敗です。資料のダウンロード数や問い合わせへの返信速度といった数字を継続して確認しなければ、対策が実際に受注機会の取りこぼしを減らせているかどうかを判断できません。導入して終わりにせず、定期的に効果を振り返る仕組みも合わせて用意しておく必要があります。

よくある質問

建設業の人手不足は今後も続く?

国土交通省の調査では過不足率が拡大傾向にあり、帝国データバンクの調査でも正社員不足を感じる建設業の企業は全業種で上位に位置しています。短期間で解消する見込みは低く、当面は人手を前提にしない業務設計への対応が必要です。

小規模な建設会社でもできる対策はある?

規模が小さいほど専任の営業担当を置きにくいため、受注前工程の省人化の効果は相対的に大きくなります。資料のDL化や問い合わせ対応の優先順位付けは、初期費用を抑えて始められる対策です。

外注に頼りすぎるとどんなリスクがある?

協力会社も同じ人手不足に直面しているため、依頼できる工事量には限界があります。外注比率を急に高めると、品質管理や工程調整の負荷が増え、対応すべき業務がかえって増えることがあります。

DX投資はどこから始めるべき?

現場の施工そのものをデジタル化するより先に、見積作成や問い合わせ対応といった受注前工程の効率化から着手すると、初期投資を抑えつつ効果を確認しやすくなります。現場の人員配置を変える必要がなく、比較的短期間で効果を確認できるためです。営業・受注獲得プロセスが統計上も後回しにされやすい実態は、建設業DXの実態|施工は進み、営業・受注獲得は「遅れている」25.1%でも確認できます。

過不足率と正社員不足の割合はどちらを重視すべき?

過不足率は現場の必要人員に対する不足度合いを示す客観的な指標で、正社員不足の割合は経営者の実感を示すアンケート結果です。自社の施工体制を見直すなら過不足率、採用や人事戦略の優先度を判断するなら正社員不足の割合が参考になります。

まとめ

  • 建設業の技能者は全国8職種で1.2%の人手不足にあり、企業の65.7%が正社員不足を感じている
  • 現場に人員を取られると見積依頼の一次返信や現地調査の日程調整が後回しになり、受注機会の損失につながる
  • 採用や多能工化と並行して、資料のDL化による受注前工程の省人化を進めることが有効
  • 資料の種類ごとの閲覧状況を手がかりに対応の優先順位をつければ、限られた人手でも関心度の高い顧客から先に対応できる
  • まずは既存の施工事例や工法資料をダウンロードページ化し、問い合わせ対応の優先順位付けから始めましょう

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