不動産DXの実態|推進68.0%でも集客・追客がアナログのまま残る理由
作成日: 2026/09/16 22:11
執筆: DocLead 運営
この記事の結論
不動産DXは取り組む従事者が68.0%に達しても、電子契約や社内業務が先行し、検討初期の集客・追客は電話と来店前提のまま残っています。
不動産DXとは
不動産DXとは、不動産業界の業務・取引・集客をデジタル技術で見直す取り組み全体を指します。範囲が広い言葉のため、進み具合を語るときは3つの層に分けて考えると整理しやすくなります。
1つ目は社内業務のDXです。顧客管理や物件情報の管理をシステム化し、紙やExcelでの二重管理をなくす取り組みが含まれます。担当者の異動や退職があっても情報が引き継がれる状態を作ることが主な目的です。物件情報の更新漏れや、担当者ごとに情報がバラバラになる事態を防ぐ効果もあります。
2つ目は取引のDXです。電子契約やIT重説など、契約手続きをオンラインで完結させる仕組みがこれにあたります。書面の郵送や対面での重要事項説明にかかっていた時間を短縮できます。遠方の借主・買主とのやり取りでは、来店の回数を減らせる点も利点です。
3つ目は集客のDXです。問い合わせ前の見込み客との接点をWeb上で作り、追客につなげる取り組みを指します。ポータルサイトへの掲載だけでなく、自社サイトや資料配布を通じて見込み客を集める工夫全般が含まれます。
この3層は、進み方が均一ではありません。契約に近い業務ほど法制度の後押しもあって整備が進みやすく、集客に近い業務ほど各社の裁量に委ねられているため取り組みにばらつきが出ます。国土交通省が社会実験を経てIT重説の本格運用を開始し、2022年5月からは書面電子化も本格運用が始まったことも、取引のDXが先行しやすい理由の1つです。制度上の後押しがある領域は、業界団体や国が調査を通じて実態を把握しやすく、数値としても取り上げられやすくなります。
反対に、集客・追客のDXは各社の営業スタイルや地域性に左右される部分が大きく、統一した指標で語りにくい領域です。そのため、業界全体の調査でも取り上げられる頻度が低くなりがちです。次章以降では、どの層がどこまで進み、どこが取り残されているのかを一次統計で確認していきます。不動産集客の施策全体は不動産集客 完全ガイドで整理しているので、あわせて参照してください。
不動産DXはどれくらい進んでいるのか?
DXに「取り組んでいる」「取り組む予定」の従事者は68.0%です。業界全体で見ると、DXへの着手はすでに過半数を超えています。
イタンジ株式会社ほか不動産テック企業7社と全国賃貸住宅新聞が共同で実施した「不動産業界のDX推進状況調査2025」によると、DXを「推進すべき」と回答した割合は98.6%にのぼります。ほぼ全員が必要性自体は認めている状態です。実際に「取り組んでいる」「取り組む予定」と回答した割合は68.0%でした。調査対象は不動産管理・仲介業の従事者1,286名で、調査期間は2025年7月4日から8月19日です。DXに取り組んだ経験がある回答者のうち、効果を実感した割合は76.2%(「強く実感」18.3%+「やや実感」57.9%)でした。実際に取り組んだ人の多くが手応えを感じているという結果です。
一方でアットホーム株式会社が公表した「不動産DXに関する実態調査2025」では、傾向がやや異なります。自社加盟の不動産会社1,171社を対象にした調査で、DXに「取り組んでいる」と回答した割合は13.4%、「取り組んでいないが検討中」を合わせても55.2%でした。調査時期は2025年1月28日から2月4日です。導入したDXツールに効果を実感していると回答した割合は8割以上でした。
2つの調査で数値に差がある理由は、母集団の違いにあります。前者は業界で働く個人(従事者)を対象にした調査で、後者は加盟する会社単位の調査です。個人としては前向きでも、会社としての投資判断となると慎重になる事業者が一定数いると読み取れます。
このギャップが生まれる典型的な理由として、意思決定の階層の違いが挙げられます。現場の担当者は日々の業務でDXの必要性を実感しやすい一方、投資の可否を決めるのは経営層です。経営層は前章で見た「予算がない」という制約に加えて、既存の業務フローを変えることへの抵抗や、投資に見合う効果が見えにくいという慎重さを持ちやすい立場にあります。会社全体としての決裁には、現場の意識よりも一段階多くの合意形成が必要になるため、個人の前向きさがそのまま会社の着手率には反映されにくいのです。それでも、どちらの調査でもDXへの意識自体はすでに業界の過半数に広がっている点は共通しています。取り組んでいる事業者の多くが効果を実感しているという結果も、両調査でおおむね一致しています。
取引のDX(電子契約・IT重説)はどこまで普及したか?
取引後半のDXである電子契約・IT重説は、IT重説18%・書面電子化11%と、まだ2割に届いていません。
公益財団法人不動産流通推進センターが掲載している「書面電子化とIT重説」という資料によると、国土交通省が令和5年度に実施した調査(不動産流通推進センター掲載)では、宅地建物取引業者を対象にIT重説と書面電子化の導入状況を尋ねています。IT重説を導入済みと回答した割合は回答者中18%、書面電子化を導入済みと回答した割合は回答者中11%でした。調査対象は宅地建物取引業者で、回答者数の明記はありません。データ基準年は令和5年度(2023年度)です。
なお、この調査については国土交通省が実施した原典の調査ページ自体は今回の調査で特定できませんでした。本記事では、公益財団法人不動産流通推進センターの公表ページを出典として扱っています。同センターは国と連携して不動産流通の実態を発信する公的な財団であり、数値の一次性は担保できると判断しています。
前章で見た68.0%という着手率と比べると、電子契約・IT重説の実導入率18%はかなり低い水準です。DXへの意識は広がっていても、契約手続きのデジタル化までは進んでいない事業者が多いことがわかります。書面電子化が11%にとどまっている点も同様の傾向を示しています。国土交通省が社会実験を経てIT重説の本格運用を開始していますが、制度が整っても現場の導入が追いついていない状況がうかがえます。
導入が進みにくい背景には、取引先や顧客側の理解を得る手間もあります。IT重説は借主・買主だけでなく、貸主・売主の合意も必要になる場合があり、片方だけがオンライン対応を望んでも実施できないことがあります。書面電子化も同様に、取引の相手方がシステムに慣れていなければ、結局は従来の紙のやり取りに戻さざるを得ないケースがあります。制度上は可能でも、取引相手を含めた運用の切り替えには時間がかかるということです。
書面電子化が11%にとどまっている理由は、自社の対応だけでは完結しない点に集約されます。契約書類は自社と相手方の双方が同じ形式でやり取りできて初めて電子化が成立します。取引の相手方が個人であることが多い不動産取引では、相手が電子署名や専用アプリの操作に不慣れな場合、担当者が説明の手間を惜しんで紙の契約書に戻してしまうことが起こりやすくなります。IT重説よりも書面電子化の数値が低いのは、重説が自社の説明方法を変えるだけで完結しやすいのに対し、契約書類の電子化は相手方の合意と操作までを含む分、ハードルが一段高いためだと考えられます。
DXが止まる理由は何か?
DXに取り組まない理由として最も多いのは「予算がない」で48.6%です。
前出の「不動産業界のDX推進状況調査2025」(イタンジ株式会社ほか不動産テック企業7社・全国賃貸住宅新聞、調査対象:不動産管理・仲介業従事者1,286名、調査期間:2025年7月4日〜8月19日)では、DXに取り組んでいない理由を尋ねた設問で「予算がない」が48.6%と最多でした。予算を理由に挙げる回答者が半数近くに達しています。
予算の制約がある事業者ほど、大がかりなシステム導入より先に、低コストで始められる施策を選ぶ必要があります。電子契約やIT重説の導入には、対応システムの選定や社内の運用ルール変更、取引先への説明といった負担が伴います。これらは一朝一夕には終わらない取り組みです。導入費用だけでなく、月額の利用料や社内研修にかかる時間もコストとして重くのしかかります。
一方で、次章で扱う集客・追客のDXは、既存の資料やコンテンツを活用できるため、電子契約システムのような大規模投資に比べて着手のハードルが低い領域です。それでも、実際には後回しにされやすい構造があります。予算がないという理由が、本来はコストの低い施策にまで漠然と当てはめられ、DX全体が「お金がかかるもの」として敬遠されてしまうケースも少なくありません。
「予算がない」という回答の背後には、前章で見た人材・制度対応の手間も絡んでいます。IT重説や書面電子化のように取引先の合意まで必要な施策は、担当者にとって説明や調整の負荷が大きく、専任の担当を置く余裕がない会社ほど後回しにしがちです。予算という金銭面の制約だけでなく、対応にあたる人材を割けないという制約も、実質的には同じ「着手できない理由」として重なり合っています。
集客・追客のDXはなぜ後回しになるのか?
本記事で参照した2つの調査は集客・追客のDXを主要な設問にしていません。取引後半の電子契約やIT重説に比べて、検討初期の接点づくりは統計上も注目されにくい領域だといえます。
一般的な傾向として、不動産会社の反響はポータルサイト経由に依存しがちです。自社サイトからの問い合わせよりも、大手ポータルの物件ページ経由で連絡が入るケースが多く、集客の主導権をポータル側に握られやすい構造になっています。問い合わせが入った後の追客も、電話とメールが中心の運用になっているケースが多く見られます。担当者が空いた時間に電話をかけ、つながらなければ次の対応が後回しになるという運用です。物件資料やエリア情報は、来店した見込み客に紙で手渡すという運用が根強く残っています。
この運用では、まだ来店していない検討初期の見込み客との接点が生まれません。ポータルで物件を見て興味を持った段階の人が、電話番号を伝えて問い合わせるほどの決心がつかず、そのまま離脱してしまう可能性があります。検討初期の段階でハードルの低い接点を用意できていない会社は、母数の時点で見込み客を取りこぼしていることになります。
追客の面でも同様の課題があります。電話で連絡がついた人には丁寧に対応できても、つながらなかった人へのフォローは担当者の記憶や手書きのメモに頼りがちです。誰にいつ電話をかけたか、どの物件に関心があったかが記録として残らなければ、次に連絡すべきタイミングを逃してしまいます。結果として、検討初期の見込み客ほど接点が途切れやすいという状態が生まれます。ポータル依存から抜け出す施策の考え方は不動産のWeb集客、施策は揃っているのに反響が増えない理由、追客の具体的な手順は不動産の追客術|資料DLで温度感を測る手順で詳しく解説しています。
不動産DXで何から取り組むべきか?
予算が限られる場合は、効果が見えやすく着手コストが低い領域から始めるのが定石です。一般的な傾向として整理すると、領域ごとの特徴は次のようになります。
| 領域 | 効果の見えやすさ | 着手コスト |
|---|---|---|
| 電子契約・IT重説 | 高い(手続き時間の短縮が明確) | 高い(システム選定・社内運用変更) |
| 顧客・物件管理システム | 中程度(業務効率化は徐々に実感) | 中程度(既存データの移行が必要) |
| 集客・追客のDX | 中程度(反響数の変化で確認可能) | 低い(既存資料の活用で始められる) |
表からわかるとおり、集客・追客のDXは着手コストが最も低い領域です。すでにある物件資料やエリア資料を活用できるため、新しいシステムを一から導入する必要がありません。電子契約や管理システムのように社内の運用ルールを大きく変える必要もなく、既存の営業活動と並行して始められる点も、限られた予算で着手する際の利点です。
電子契約・管理システムの着手コストが高い理由は、システム選定と社内の運用変更が同時に発生する点にあります。電子契約は取引先の合意まで含めて運用を切り替える必要があり、管理システムは既存の顧客・物件データを移行する作業が伴います。どちらも導入して終わりではなく、社内の担当者が新しい操作に慣れるまでの教育期間も必要になるため、費用面だけでなく時間的な負担も大きくなります。
順番としては、まず着手コストの低い集客・追客のDXで小さく成果を出し、その効果を社内で共有してから、電子契約や管理システムのような投資が必要な領域に進む進め方が現実的です。いきなり大きな投資判断を求めるよりも、反響数の変化という目に見える成果を示せた方が、社内の合意も得やすくなります。
検討初期の見込み客を資料で捕まえるにはどうする?
検討初期の見込み客を捕まえる方法として、物件資料やエリア資料をダウンロードページの形で公開する手段があります。
ポータルサイトで物件を見た人の多くは、まだ問い合わせるほどの決心がついていません。この段階の人に電話番号を尋ねるフォームを出しても、離脱されるだけです。代わりに、物件の詳細資料や周辺エリアの相場情報、購入ガイドといった資料をダウンロードページとして公開し、メールアドレスと引き換えに渡す形にすると、問い合わせよりもハードルが下がります。資料を見るだけなら電話がかかってくる心配がないため、検討初期の人でも申し込みやすくなります。
資料をダウンロードした人は、少なくともその物件やエリアに一定の関心を持っています。ダウンロードした資料の種類や閲覧のタイミングを記録しておけば、どの見込み客から優先して連絡すべきかを判断する材料になります。物件詳細資料に強い関心を示した人と、エリア相場だけを見た人とでは、追客の優先順位を変えるべきです。何度も同じ資料を見返している人がいれば、検討がかなり進んでいるサインとして扱うこともできます。
具体的なシナリオで考えてみます。あるマンションの物件詳細資料をダウンロードしたAさんと、そのエリアの相場レポートだけをダウンロードしたBさんがいたとします。Aさんは間取りや価格まで含めた個別の物件情報を求めており、購入の検討がかなり具体的な段階に入っている可能性が高い見込み客です。担当者はAさんを最優先の連絡先とし、当日か翌営業日には電話やメールで具体的な内見の案内をするべきです。一方、Bさんはまだ特定の物件を絞り込む前の情報収集段階にとどまっている可能性があります。この場合はすぐに営業電話をかけるのではなく、条件に合いそうな物件情報を数日おきに送るなど、関心が高まるまで距離を保った追客に切り替えるのが適切です。同じ「資料をダウンロードした人」でも、資料の種類によって検討の深さが異なるため、一律の対応では機会を逃したり、逆に急ぎすぎて敬遠されたりする結果になります。
来店前の接点が無いことによる機会損失も見過ごせません。ポータルで物件を見て興味を持った人の多くは、複数の不動産会社の物件を横断的に比較検討しています。この段階で自社との接点が生まれなければ、他社が先に資料や情報を提供し、そちらで検討が進んでしまう可能性があります。来店を待つ運用では、来店に至るまでの検討期間中ずっと接点が空白のままになり、その間に競合他社に見込み客を先取りされるリスクが生じます。資料ダウンロードという軽い接点であっても、検討の初期段階で自社の名前と情報を先に届けておくことが、その後の比較検討で選ばれる可能性を高めることにつながります。
この考え方は、電話とメール中心の追客が抱える課題を補うものでもあります。担当者の記憶やメモに頼らず、誰がいつ何をダウンロードしたかが記録として残るため、担当者が変わっても引き継ぎがしやすくなります。来店前の段階から関心の高さを把握できれば、来店時の商談も的を絞って進められます。
DocLeadはPDFの資料をアップロードするだけで、こうしたダウンロードページとリード獲得フォームを用意できるツールです。専用のシステムを新たに構築しなくても、既存の物件資料やエリア資料をそのまま活用できます。設定から公開までの作業も短時間で済むため、集客・追客のDXに着手コストをかけたくない事業者でも導入しやすい形です。反響を増やす具体的な手順は不動産の反響を増やす方法|資料請求CVで母数を作る手順で解説しています。
よくある質問
小規模の仲介会社でもDXは必要ですか?
必要です。DXに取り組む企業の割合を示す調査は、規模の大小にかかわらず着手が進んでいるとされます。特に集客・追客のDXは既存の資料を活用できるため、大規模なシステム投資をせずに小規模な会社でも始められます。人員が少ない会社ほど、担当者の手作業に頼らずに済む施策から取り組むメリットは大きくなります。
ポータルサイト依存から抜け出すことはできますか?
完全に依存をなくす必要はありません。ポータル経由の反響に加えて、資料ダウンロードのような自社の接点を増やすことで、ポータルに頼らない見込み客も獲得できるようになります。両方を組み合わせて考えるのが現実的です。自社サイトやSNSで資料の存在を知らせることも、ポータル以外の接点を増やす手段の1つになります。
電子契約から始めるべきですか?
予算に余裕があれば有効ですが、必須ではありません。電子契約はシステム選定や社内運用の変更が必要でコストがかかります。予算が限られる場合は、着手コストの低い集客・追客のDXから始める方が現実的です。小さく始めて成果を確認してから、次の投資判断につなげる進め方をおすすめします。
DXの効果はいつごろ出ますか?
施策によって異なります。物件資料のダウンロードページは公開後すぐに反響の変化を確認できますが、電子契約や社内システムの効果は、運用が定着するまでに数か月かかることが一般的です。効果測定の指標をあらかじめ決めておくと、施策ごとの成果を比較しやすくなります。
DXの効果を実感している事業者はどれくらいですか?
多くの事業者が効果を実感しています。前出の「不動産業界のDX推進状況調査2025」では、DXに取り組んだ経験がある回答者のうち76.2%が効果を実感していました。アットホーム株式会社の「不動産DXに関する実態調査2025」でも、導入したDXツールに効果を実感していると回答した割合は8割以上でした。取り組みを始めた事業者の多くが手応えを得ているという結果は、両調査で共通しています。
まとめ
- 不動産DXへの着手は従事者の68.0%まで進んでいますが、電子契約・IT重説の実導入はIT重説18%・書面電子化11%にとどまっています。
- DXに取り組まない理由の最多は「予算がない」(48.6%)で、着手コストの低い施策から始める必要があります。
- 本記事で参照した2つの調査は集客・追客のDXを主要な設問にしておらず、検討初期の見込み客との接点づくりが手つかずのまま残っています。
まずは手元にある物件資料やエリア資料をダウンロードページの形で公開し、検討初期の見込み客との接点を作ることから始めてみてください。大きなシステム投資をする前に、既存の資料をそのまま活かせる施策から着手することが、DX全体を前に進める近道になります。
手元の PDF が、30秒後にはリード獲得フォームに。
- PDF をアップロードするだけで、フォーム付きの公開ページが完成
- ダウンロードした人の連絡先が、リードとして自動で貯まる
- 無料プランのまま公開もリード獲得も試せる
クレジットカードの登録は不要です。

