マーケティング予算の決め方3手法

作成日: 2026/07/22 20:31 ・ 更新日: 2026/09/03 00:25

執筆: DocLead 運営

この記事の結論

マーケティング予算の決め方は売上比率法・目標逆算法・施策積み上げ法の3つで、低予算なら目標逆算法が向きます。

「今期のマーケティング予算はいくらにすべきか」を、感覚や前年踏襲で決めていないでしょうか。根拠のない予算は、経営層への説明で行き詰まったり、期中で施策を止めざるを得なくなったりする原因になります。この記事では、マーケティング予算の決め方を「売上比率法」「目標逆算法」「施策積み上げ法」の3つの手順に分けて解説します。あわせて、予算が限られる場合の始め方も紹介します。

課題の整理

マーケティング予算の決め方に悩む理由は、主に「根拠の作り方が分からない」「配分の優先順位がつけられない」の2点に集約されます。

売上比率法だけで決めると、業績が悪い期に予算が減り、本来必要な投資まで削ってしまうことがあります。逆に目標逆算法だけに頼ると、必要投資額が大きくなりすぎて経営層の承認が得づらいケースもあります。1つの方法に依存せず、複数の視点で予算額を検証することが、説得力のある予算策定につながります。

また、予算総額が決まっても、どの施策にいくら配分するかで成果は大きく変わります。この記事では、予算総額の算出方法と、算出後の配分の考え方をあわせて整理します。

事前準備

予算策定に入る前に、判断材料となる数字を手元にそろえておきましょう。準備が不十分だと、どの方式を使っても精度の低い予算になってしまいます。

これらの数字がそろっていれば、次の手順に進む準備は完了です。

手順

マーケティング予算は「売上比率法」「目標逆算法」「施策積み上げ法」の3つの視点で算出し、突き合わせて最終決定するのが基本の流れです。それぞれ単独で使うより、複数の方式を組み合わせたほうが根拠が強くなります。

手順1:売上比率法で概算を出す

売上比率法は、売上高に対して一定の比率をマーケティング予算に充てる、最もシンプルな方法です。経営層への説明がしやすく、他社との比較もしやすいのが利点です。

一般的な傾向として、BtoB 企業では売上の数パーセントから1割程度をマーケティング予算に充てるケースが多いとされます。事業のフェーズ(新規顧客獲得を重視する成長期か、既存顧客深耕を重視する安定期か)によっても目安は変わるため、あくまで概算の起点として捉えましょう。

計算はシンプルです。

  1. 今期の売上目標(または前年実績)を確認する
  2. 自社の事業フェーズに応じた比率を仮置きする
  3. 「売上目標 × 比率」でマーケティング予算の概算を算出する

この数字は、次の目標逆算法との突き合わせに使う「参考値」として扱います。

手順2:目標逆算法で必要投資額を算出する

目標逆算法は、達成したい売上目標から逆算して、必要なマーケティング投資額を算出する方法です。論理的な組み立てができるため、経営層への説得力が高いのが特徴です。

  1. 今期の売上目標を設定する
  2. 売上目標を達成するために必要な新規顧客数を算出する
  3. 新規顧客数に、自社の実績値である顧客獲得コスト(CAC)を掛け合わせて、必要な獲得投資額を算出する
  4. 既存の運用コスト(人件費・ツール費用など)を加算し、マーケティング予算の総額を出す

この方式の精度は、CAC の実績値の正確さに左右されます。過去の獲得実績が少ない場合は、施策ごとのリード獲得コストの目安を使って代用することもできます。CAC が高すぎると感じる場合は、獲得チャネルごとの内訳を分解し、どのチャネルがコストを押し上げているかを確認すると原因を特定しやすくなります。

なお、目標逆算法だけで算出すると、成長目標が高いほど投資額が膨らみ、経営層の承認ラインを超えてしまうことがあります。その場合は、手順1で出した売上比率法の概算と比較し、乖離が大きいときは目標値や達成期間を調整するなど、現実的な着地点を探る材料にしましょう。

手順3:施策積み上げ法で配分を確定する

施策積み上げ法は、実施したい施策を洗い出し、それぞれの見積り費用を積み上げてボトムアップで予算を組む方法です。手順1・2で算出した総額の範囲内に収まるよう、施策の優先順位をつけながら配分します。

  1. 実施候補の施策(広告運用・展示会・ウェビナー・コンテンツ制作・資料ダウンロード施策など)を洗い出す
  2. 施策ごとに想定リード数と、目安となるリード獲得コスト(CPL)から必要費用を見積る
  3. 手順1・2で算出した予算総額と照らし合わせ、優先度の高い施策から予算を配分する
  4. 想定リード数・獲得単価をもとに、期待できる成果(リード数・商談数)を試算する
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3つの方式を突き合わせることで、「経営層が納得しやすい根拠」と「現場で実行可能な配分」の両方を満たす予算になります。

つまずきポイント

予算策定でよくあるつまずきを、事前に押さえておきましょう。

  • 比率だけで決めて配分を考えない:総額が決まっても、施策への配分根拠がないと、期中で「何にいくら使ったか」が説明できなくなります。手順3の積み上げまで必ず行いましょう。
  • CAC・CPL の実績値がなく机上の空論になる:初めて予算を組む場合は、業界の目安値を仮置きし、実績が貯まり次第、次期の予算で数値を更新する運用にすると精度が上がります。
  • 予算を使い切ることが目的化する:期末に予算消化のための施策を無理に実施すると、成果につながらない支出が増えます。四半期ごとに実績を見直し、必要に応じて配分を組み替える運用が望ましいです。
  • 成果測定の仕組みを後回しにする:予算を配分した施策ごとに、リード獲得数や資料のダウンロード数を追える状態にしておかないと、次期予算の根拠が作れません。
  • 部門間で予算の前提をすり合わせない:営業側が期待する商談数と、マーケ側が積み上げた予算の前提がずれていると、期中で「思ったほどリードが増えない」という認識のギャップが生まれます。予算策定の段階で、達成できる成果の水準をあらかじめ共有しておきましょう。
  • 施策の実行コストだけを見て運用コストを見落とす:広告費や制作費だけでなく、ツール利用料や運用にかかる人件費も含めて予算を組まないと、期中で不足が発覚しやすくなります。

効率化のヒント

予算規模が小さい場合や、初めて予算策定を行う場合は、いきなり有料施策に大きく投資するのではなく、低コストで始められる施策から実績を作るのがおすすめです。

例えば、Web 上に公開する資料(ホワイトペーパーや導入事例)を使ったリード獲得は、広告費をかけずに始められる施策の一つです。無料で使えるツールを組み合わせれば、初期投資を抑えたまま「どの資料がどれだけリードにつながったか」の実績データを蓄積できます。この実績が、次期の目標逆算法・施策積み上げ法の精度を上げる材料になります。

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また、有料の広告施策と比較すると、資料をきっかけにしたリード獲得は、一度公開ページを用意すれば継続的に問い合わせにつながる点も特徴です。予算の中で「一度作れば資産として残る施策」と「実施のたびにコストがかかる施策」を分けて考えると、限られた予算でも中長期的な効果を見込みやすくなります。

予算配分は一度決めたら終わりではなく、実績をもとに毎期見直していくものです。まずは3つの方式で概算を出し、小さく始めて改善していく流れを作りましょう。

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